2009 Fiscal Year Annual Research Report
幾何学的変分問題の解の特異点に関する不変量と均衡条件
Project/Area Number |
18540219
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
加藤 信 Osaka City University, 大学院・理学研究科, 准教授 (10243354)
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Keywords | 極小曲面 / スカラー曲率 / 特異点 / 均衡条件 |
Research Abstract |
本研究課題の準備段階において、3次元ユークリッド空間内の極小曲面の内、種数0でn個の懸垂面型の端を持つ、いわゆるn端懸垂面において、各端対に対して相対ウェイトを定義した。この相対ウェイトにより、曲面が退化する直前の様子を記述した定理をいくつか得た所で、本研究課題を開始し、18~19年度は、まず、上記の定理を用いたn端懸垂面の非存在条件の分析の精密化を行い、また、3次元ローレンツ空間内の極大曲面についても、その特異点集合上に位置する単純な端に関する制約条件を分析し、3個の単純な端のみを持つ種数0の極大曲面の分類を完成するとともに、4個の単純な端のみを持つ種数0の極大曲面の一般的存在を示した。また20年度は、3次元ユークリッド空間内の種数1のn端懸垂面でコスタ曲面や種数1のジョージ・ミークス曲面などの重要な既知の例を含むクラスについて、種数0の場合同様に行った定式化を元に新しい例を構成し、シェーンによって与えられた非存在条件を満たすような方向への変形によって曲面が退化する様子を観察した。 それに引き続き21年度は、上記の例の分析を進め、端は同じウェイトを持つが、合同でない2つの種数1の曲面の族を構成した。その一方は広義の収束極限の大きい部分がシェーンの非存在条件を実現し、もう一方は小さい部分がそれを実現するものである。この結果を含む論文は現在投稿中である。同様に崩壊するn端懸垂面の族は、他にも構成することが可能で、但し、それらの極限は上記の例とは異なる状況を示しており、本研究は、シェーンの非存在条件を、より大きな枠組みで捉えることの可能性を示唆するものであると言える。また、種数1で上述の重要な既知の例を含まないもう一つのクラスについても、定式化を行った。これらの研究成果については、現在、論文を準備中である。
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