2007 Fiscal Year Annual Research Report
欠陥スピネル型ハロゲン化物におけるリチウムイオン伝導性
Project/Area Number |
18550127
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
山田 康治 Nihon University, 生産工学部, 教授 (10166704)
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Keywords | 臭化リチウム / インジウム / 岩塩型構造 / スピネル構造 / イオン伝導 / リートベルド解析 / 7Li NMR / 115In NMR |
Research Abstract |
臭化リチウムと三臭化インジウムの反応で得られるLi_3InBr_6とLi InBr_4は基本的には最密充填した臭化物イオンの八面体間隙にIn^<3+>が入る構造であることが明らかとなった。今回の研究では再度Li_3InBr_6とLi InBr_4を合成し高分解能粉末X線回折装置で回折パターンを測定しリートベルド解析を行った。Li_3InBr_6では以前我々が報告した2倍(体積で)の単位格子を採用することで、強度の弱い反射も含め観測データをより再現することができた。それによる、In^<3+>が臭化物イオンによる異なった数種類の八面体間隙サイトを統計的に占有していることが明らかとなった。Li^+のサイトに関する情報はX線回折では得られないが、Li^+とIn^<3+>のイオン半径が類似していることが、このようなカチオン分布の乱れの原因であると考えられる。一方、LiInBr_4は岩塩型LiBrのほぼ2倍の単位格子をもつ空間群Fd3mのスピネル構造で解析できるが、体積が1/16となる空間群R3mの菱面体晶系でもその粉末X線回折パターンを説明することができた。Li_3InBr_6とLiInBr_4に共通する特徴はカチオンのサイトに乱れがあり、またLi^+の拡散に適した層が形成されている点である。この層はIn^<3+>の占有数が低く、幾分広がった八面体間隙が二次元的に形成されている特徴がある。このようにこれらの結晶はリチウムのイオン伝導に適した構造をとっている点は確認できたが、これらの強い吸湿性や関連する水和物の存在など問題が多く、イオン伝導度の評価にはさらに詳細な実験と検討を必要とすることも明らかとなった。
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