Research Abstract |
・流動帯電に対する速度変化の影響について調べるために,既存の流下式実験装置を用い,十分除電した油を,網,穴を開けた板,パイプに通し,流速を過渡的に変化させた時の帯電量を測定した.流れ初め直後に現れる過渡電流は,ほぼ5秒程度で定常値に達し,その時定数は流路の長さに比例する傾向があること,流路がある程度長くなると発生した電荷の緩和の影響が大きくなり,発生量が少なくなることがわかった.このため流速を5秒程度で変化させると,過渡電流はほとんど発生しないことがわかった. ・油を真空ポンプで減圧し,購入した水分計で油中水分量を測定しながら,流動帯電による発生電流と,体積抵抗率,水分量の関係を調べたところ,水分の減少とともに体積抵抗率は増加するものの,網,穴を開けた板との間に発生する流動帯電との明らかな関係を見出すことは出来なかった.これは,電荷が発生する帯電現象は流速の変化に追従するが,発生した電荷が再度壁面に接触することによって生じる緩和現象が,流路が短いと影響が小さく明らかな傾向が現れなかったためと考えられる.この点について確めるためには,長い流路を用いた実験が必要がある. ・脈動流量変動のある流れを,測定平均流量に対し1/10程度の脈動を加えて作り出し,金属製網に発生する帯電量を測定した結果,周波数が100Hz以下の流れにおいては,定常流れにおける流速-電流の関係と比べて大きな電流が発生するが,周波数の増加に対して発生電流は小さくなることが明らかとなった.この原因として,壁面近傍の速度勾配が周波数によって異なることが考えられるが,数値計算の結果,脈動振幅が平均流量に対して比較的小さい流れでは,速度勾配の変化は小さいことがわかり,壁面近傍の速度勾配と帯電の関係だけでなく,緩和も大きく影響していることがわかった.
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