2007 Fiscal Year Annual Research Report
陽電子消滅法と電子顕微鏡によるカップ積層型カーボンナノチューブエッジサイトの研究
Project/Area Number |
18560651
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
村上 英興 Tokyo Gakugei University, 特任教授 (30011000)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金沢 育三 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (00134768)
佐藤 公法 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (00401448)
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Keywords | カップ積層型カーボンナノチューブ / グラッフェンシートエッジサイト / ポジトロニューム生成 / 同時計測陽電子消滅ドップラー拡がり / 陽電子寿命 / 高分解能電子顕微鏡観察 |
Research Abstract |
カップ積層型カーボンナノチューブでは上・底面が開いた円錐カップ状グラファイトシートがチューブ軸に沿って積み重なっていて、チューブ表面にシートのエッジサイトが高密度に露出している。このエッジサイトではポジトロニュームが高い確立で形成されるという特異な化学的活性をしめすことが、これまでの我々の研究でわかってきた。当該年度では、陽電子寿命測定をさらに遂行するとともに、同時計測陽電子消滅ドップラー拡がり測定装置を完成し、解析プログラムを作成、電子運動量分布に関するデータを得てこれを解析し、エッジサイトでの陽電子の挙動に関する知見を得ることを目的とした。 まず、カップ積層型カーボンナノチューブと、エッジの露出していない多層型カーボンナノチューブでの陽電子消滅寿命を測定し比較して、数十パーセントの陽電子がエッジサイトの電子を引き抜き、ポジトロニュームを形成することを確認した。次に、同時計測陽電子消滅ドップラー拡がり測定装置を組み上げて、ドップラー拡がりを高運動量領域まで測定した。組み上げた装置では、期待通り高運動量領域まで精密にドップラー拡がりを測定できた。測定結果の解析によれば、エッジサイトにおいて陽電子の一部はパラポジトロニュームとなって消滅すること、他の一部は電子と対消滅するがこの電子の運動量分布は積層したグラファイトシート中の電子運動量分布とことなることがわかった。これらの研究成果を、遂行した研究成果と合わせて、国内外の学会に発表するとともに論文として公表した。 得られた成果は、カーボンナノチューブおよびグラッフェンシートエッジサイトの物性解明に重要な知見である。
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Research Products
(7 results)