2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18560760
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
西尾 正則 Kagoshima University, 理学部, 教授 (70135383)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 忠 宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部, 教授 (80179465)
坂本 祐二 東北大学, 工学研究科, 助教 (50431523)
|
Keywords | 人工衛星 / 宇宙航空工学 / 電波干渉計 / 軌道決定 / ビーコン電波 |
Research Abstract |
我々が進めている大気水蒸気観測ミッション(人工衛星からの電波を利用した大気水蒸気の空間構造とその時間変動の高精度観測)、小型衛星・超小型衛星の軌道管理等への応用を目指し、低軌道地球周回衛星の軌道決定に関する新たな方法の開発を進めた。本方法は、電波干渉計を使った方法の一種であるが、干渉位相の時間微分をとった量を観測量として利用することにより、干渉計観測が不得意な位置情報の測定を不要としたことを特徴としている。本研究では、(1)軌道決定アルゴリズムの開発、(2)数値シミュレーションによる軌道決定精度の評価、(3)実観測データによる有効性の検証を行った。 鹿児島大学理学部に設置された衛星追跡用電波干渉計(基線長74m)により衛星高度1400kmの衛星を観測した場合を例題として行った数値シミュレーションでは、軌道を10数mの精度で決定できることを確認した。また、精度を向上する上で計算パラメータ(たとえば、位相微分の時間ステップなど)の最適化が必要であることがわかった。一方、実観測データを用いた実験より、本方法により軌道決定が有効に行えることを確認した。干渉計の基線長を変化させた数値シミュレーション実験を行い、基線長を長くすることで位置決定制度が向上し、基線長10kmでは位置決定精度1m以下が期待できることを確認した。なお、実観測では、収集した全データに対して上記の精度が達成されていたわけではなく、収束結果が良好でない場合もあった。この点が今後の課題として残った。 本研究で開発した方法は、衛星側に軌道決定のための特別な装置を必要としないことから、衛星のコンパクト化に寄与する。時に、大きさ10cm程度の超小型衛星に有効な方法である。
|