2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18570011
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
舘野 正樹 東京大学, 大学院理学系研究科, 助教授 (00179730)
|
Keywords | 物質分配 / 窒素 / ジベレリン / サイトカイニン / 光合成 |
Research Abstract |
18年度は特に窒素環境の変化に伴う物質分配の変化を引き起こすメカニズムについて、理論的な検討と実験的なテストを行った。得られた主な結果は次の通りである。 1.物質分配は茎頂がコントロールしていた:実験の結果、同化産物を茎頂分裂組織が利用し、形成層は茎頂の伸長にあわせてシュートの力学的安定性を維持するように分裂していることが示唆された。これらの分裂組織が使わなかった同化産物は根へ送られ、すべてが根の形成に利用される。 2.茎頂分裂組織に分裂の速度を指示しているのはジベレリンである可能性が高い:ジベレリンに依存した茎頂分裂組織の活性変化が観察された。理論的には、ジベレリン合成量が同化量に依存しているならば、茎頂はその情報に従って分裂することが合理的である。 3.サイトカイニンはジベレリン合成量をモディファイする:土壌からの窒素吸収量の情報伝達に関わるサイトカイニンは蒸散流に乗って地上部に運ばれ、最終的には葉に入る。サイトカイニンが多いならば、窒素は十分であり、茎頂は旺盛な分裂をしても良いことになる。理論的な解析の結果、おそらく、サイトカイニンはジベレリン合成量を多少調整することで、土壌中の窒素環境にあわせた茎頂分裂組織の活性をコントロールしているものと考えられる。 4.ジベレリンは極性輸送によって茎頂に運ばれる:ジベレリンが同化量を茎頂に正確に伝えるためには、シュート単位での極性輸送が必要である。オーキシンの極性輸送を逆行させるようなトランスポーターが存在することでこの目的は達成されることが理論的に示された。
|