2006 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫糖受容細胞における情報変換機構の新展開:一酸化窒素関与の伝達経路
Project/Area Number |
18570068
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
中村 整 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (50217858)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲村 厚志 電気通信大学, 電気通信学部, 助手 (50361829)
|
Keywords | 化学感覚 |
Research Abstract |
昆虫は、味覚器を周辺環境に接触させることで得た化学物質の情報を直接脳に伝え、摂食や繁殖といった種の生存・維持に必須の行動決定に反映させている。申請者らは、昆虫の味覚器に存在する4種の味細胞のうち特に糖受容細胞を中心として、その細胞内情報伝達経路を明らかにすべく研究を行なっている。本研究課題では、ショウジョウバエ糖受容細胞に発現する遺伝子を網羅的に同定し、得られた情報を元に個々の遺伝子を順次阻害することにより、糖受容細胞における情報伝達経路の全容解明を目指している。 本年度はまず、糖受容細胞に特異的に発現する遺伝子を、糖受容細胞を欠損したハエと野生型のハエを用いたディファレンシャルスクリーニングによって得るために、糖受容細胞欠損変異体の作成を試みた。すなわち、ショウジョウバエの糖受容体遺伝子・Treのプロモーター(p[Tre]),酵母の転写因子・Gal4とその結合配列・UASを用い、ショウジョウバエのアポトーシス因子・p53を糖受容細胞限定的に過剰発現させることを目標とした。その結果、糖受容細胞中にp53を大量発現したと考えられるハエのF_1世代を得ることができた。これらのハエでは糖受容細胞限定的にアポトーシスが誘発され、糖受容細胞が失われると想定されるが、そのことを確認するため、まず行動学的な面から摂食量の変化を検討した。新たに摂食実験の系を立ち上げ、実際に糖の摂食量が低下しているハエの系統が確認された。また、生理学的な側面からの確認を行うためには従来クロキンバエを対象としていた電気生理学的方法(チップレコーディング法)を格段に小型であるショウジョウバエに適用するべく、各種の改変を行った。現在、p53の発現と糖細胞の消失の時間的な関係を明らかにしようとしているが、その後、糖受容細胞を持たないハエと持つハエの間でディファレンシャルスクリーニングを行って、糖受容細胞に特異的に発現する遺伝子を網羅的に同定する予定である。
|
Research Products
(3 results)