2009 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫糖受容細胞における情報変換機構の新展開:一酸化窒素関与の伝達経路
Project/Area Number |
18570068
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
中村 整 The University of Electro-Communications, 電気通信学部, 教授 (50217858)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲村 厚志 電気通信大学, 電気通信学部, 助教 (50361829)
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Keywords | ショウジョウバエ / 糖受容細胞 / アポトーシス遺伝子 / クロキンバエ / 苦味受容細胞 / GAL4 / UASシステム |
Research Abstract |
ショウジョウバエの糖細胞に特異的に発現する遺伝子の同定をアポトーシスの利用によって実現を狙ったが、GAL4/UASシステムを利用して糖細胞にアポトーシスを誘発させ糖細胞を除去したショウジョウバエの作成を試みたところ、行動学的及び電気生理学的に糖受容に機能的な障害のあるハエが得られた。しかし、それらはなお大量の糖受容体(Gr5a)の発現を示した。それらのハエについて解析を試みたところ、交配前のUASキャリアのハエに、大量のGr5aの発現という異常が見出され、交配で作成したハエにおいても野生型の数倍量のGr5aの発現が認められた。これらの機能的な障害を持ったハエについてさらなる解析も検討したが、Gr5aの大量発現という条件のもとでの研究は意義が見出し難いと思われた。またもう一つの糖細胞特異に発現する遺伝子同定の方法として今年度試みてきたのは、GFPのみを発現させた糖受容細胞を単離して単一細胞RT-PCR法を行うことであったが、こちらも今のところ明確な結果が得られていない。 一方、クロキンバエを用いての薬理学的な研究においてNOの効果と苦味による糖応答の抑制について検討を続けた。以前、NOによって糖細胞が興奮することを報告したが、今回もう一つの細胞が応答していることが示唆された。当初興奮しているのは苦味細胞かと思われたが、より丁寧な解析により、別の細胞である可能性が高まった。また苦味物質は苦味細胞の興奮を介さないで、直接に糖細胞の応答を抑制することが明らかになってきた。そのためNOは苦味細胞の機能とはあまり関与せず、糖細胞と別の細胞の情報変換に関わることが考えられる。これらはさらに詳しい検討が必要で、現在も続行中である。
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Research Products
(7 results)