2006 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子活性化におけるクロマチン構造とくにヌクレオソーム配置の役割の解析
Project/Area Number |
18570158
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小村 潤一郎 東北大学, 大学院医学系研究科, 助手 (10215410)
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Keywords | 遺伝子発現 / クロマチン構造 |
Research Abstract |
M期(細胞分裂期)には、染色体やクロマチンの構造は大きく変化し、すべての遺伝子の転写が停止する。この一時的な遺伝子活性の全喪失にもかかわらず、細胞は分裂・増殖しても一定の遺伝子発現プロファイルを保ち続ける。染色体上には、各遺伝子の安定した発現状態を保障するための装置が存在する。そのようなものの一種であるinsulator(ふたつの遺伝子の間を機能的に遮断する)のクロマチン構築が、M期にそのまま維持されるのかそれとも変化を被るのかを検討した。 ヒト由来培養細胞(HeLa)のc-MYC遺伝子の上流にあるinsulatorの領域をサザン法で解析したところ、間期にはDNase I hypersensitive siteとして観察されたので、特定の機能的構築、おそらくはヌクレオソームの排除された構造を伴っていると推測される。しかし、M期にはDNase I感受性はみられなかったので、特徴的な構造が失われていると考えられる。Insulatorに必須とされるタンパタ質(CTCF)の当該領域DNAに対する結合を、in vivoフットプリント法で解析したところ、間期には明確なフットプリントの形で認められる結合が、M期には失われていることが判明した。また、このようなM期における変化は、M期終了後に 元に戻ることを確認した。 以上の結果から、各遺伝子の安定した発現状態を保障するための装置のひとつであるinsulatorの構築が、M期にはいったん解体され、M期終了後に再建されるという意外な事態が示唆される。
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