2006 Fiscal Year Annual Research Report
臭素化難燃剤の毒性発現の鍵を握る水酸化代謝物の生成とその甲状腺ホルモン攪乱作用
Project/Area Number |
18590118
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Nihon Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
北村 繁幸 日本薬科大学, 薬学部, 教授 (40136057)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤本 成明 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 准教授 (40243612)
柏木 昭彦 広島大学, 大学院理学研究か, 客員教授 (50106796)
太田 茂 広島大学, 大学院理学研究か, 教授 (60160503)
杉原 数美 広島大学, 大学院理学研究か, 助教 (20271067)
|
Keywords | ブロム化難燃剤 / ポリブロモジフェニールエーテル / 甲状腺ホルモン / 内分泌撹乱作用 / 代謝的活性化 / 水酸化代謝物 / オタマジャクシ / 変態 |
Research Abstract |
ブロム化難燃剤はパソコン、テレビを始めとする家電品の難燃剤として広く使用されているが、その環境への残留性からダイオキシンにかわる新らたな環境汚染物質として注目されている。実際、生体内からブロム化難燃剤あるいはその代謝物が検出されている。その中には活性代謝物として、ブロム化難燃剤の毒性の一役を担っていると考えられている。一方、これらの化合物の代謝物の中には、甲状腺ホルモンとの構造類似性が見られることから、甲状腺ホルモン作用を撹乱する可能性が考えられている。そこで、ブロム化難燃剤(本研究ではポリブロモジフェニールエーテル(PBDEs)を取り上げた)の甲状腺ホルモンレセプターと親和性をbinding assayおよびレポーターアッセイ系を用いて検討した。また、in vivoでの影響評価として、オタマジャクシからカエルへの変態を指標とした検討を行った。その結果、下垂体細胞MtT/E-2の甲状腺レセプターに対して、代表的なブロム化難燃剤であるテトロブロモビスフェノールAおよびいく種かの水酸化PBDEsは強固に結合することを見出した。また、下垂体細胞GH3の増殖および成長ホルモンの分泌を促進し、アゴニスト作用が見られた。これに対して、甲状腺レセプターをトランスフェクトしたチャイニーズハムスター卵巣細胞CHOに対しては、アンタゴニスト作用を示した。さらに、甲状腺ホルモンレセプターとの親和性の構造的要因を検討した結果、4位に水酸基および3,5位にブロヌ基が必須であった。一方、オタマジャクシが変態する際に、甲状腺ホルモンが促進することが知られている。そこで、オタマジャクシからカエルへの変態(尾の短縮および手足の伸長)を利用して、これらの物質の甲状腺ホルモン撹乱作用を検討した結果、テトロブロモビスフェノールAは甲状腺ホルモンによる尾の短縮および手足の伸長を著しく阻害し、甲状腺ホルモン撹乱作用を示した。
|
Research Products
(7 results)