2006 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳動物で生成される内因性マリファナ様物質アナンダミドの生理作用の解明
Project/Area Number |
18590297
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
岡本 安雄 香川大学, 医学部, 助手 (80293877)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植木 正明 香川大学, 医学部, 助教授 (20213332)
上野 正樹 香川大学, 医学部, 助教授 (30322267)
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Keywords | N-アシルエタノールアミン / N-アシルホスファチジルエタノールアミン / アナンダミド / エンドカンナビノイド / ホスホリパーゼD |
Research Abstract |
内因性マリファナ様物質であるアナンダミドを含むN-アシルエタノールアミン(NAE)がホスファチジルエタノールアミン(PE)からN-アシルPE(NAPE)を経て作られることは知られていたが,反応に関与する酵素や遺伝子の実体はこれまで不明であった。最近,我々は二番目の反応であるNAPEからアナンダミドを含むNAEの生成を触媒するホスホリパーゼD型酵素(NAPE-PLD)のcDNAクローニングに成功した。本研究の目的は,NAPE-PLDの遺伝子欠損(KO)マウスの作製・解析を行い,本酵素により生成されるアナンダミドを含むNAEの生理機能を明らかにすることである。 本年度は以下の研究を実施した。 1.KOマウスの作製 NAPE-PLDの触媒活性中心が局在する第3エクソンを標的部位として,Cre/loxPシステムを用いてKOマウスを作製した。KOマウスの各臓器におけるNAPE-PLDのmRNAおよびタンパク質レベルの欠如はRT-PCR法およびウエスタンブロット法により確認した。一方,NAPE-PLD活性は野生型(WT)マウスに比べて、KOマウスの各臓器で様々な程度で減少したが,完全に消失しなかったことから,NAPE-PLD以外の経路を介するNAEの産生経路の存在が示唆された。 2.KOマウスの生化学的解析 正常時における脳内のNAEおよびそれらの前駆物質であるNAPEの含量を高速液体クロマトグラフィーを用いて測定したところ、KOマウスの脳内のNAPE量がWTマウスより15-20倍も増加した。これらの結果から,NAPE-PLDが生体内でNAPEからNAEの生成に中心的に働いていることが示された。
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