2006 Fiscal Year Annual Research Report
メタボリックシンドローム発症における遺伝と環境の相互作用に関する研究
Project/Area Number |
18590557
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
塩飽 邦憲 島根大学, 医学部, 教授 (10108384)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嘉数 直樹 島根大学, 医学部, 助教授 (20264757)
山崎 雅之 島根大学, 医学部, 助手 (60379683)
渡部 麻実子 島根大学, 医学部, 助手 (90432616)
乃木 章子 山口県立大学, 生活科学部, 助教授 (90312305)
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Keywords | メタボリックシンドローム / 遺伝 / 生活習慣 / 糖尿病 / 日本 / 中国 / 疫学 |
Research Abstract |
1.メタボリックシンドローム予防プログラム 島根県出雲市の壮年を対象に、メタボリックシンドローム予防プログラムを実施した。このプログラムは、教育介入による3カ月間の介入研究である。摂取熱量262kcal減少、消費熱量97kcal 増加により、体重は1.5kg減少した。体重減少には、摂取熱量減少の中で炭水化物摂取量差が最も貢献し、遺伝子多型ではβ_3-adrenergic receptorが有意に寄与していたが、他の遺伝子多型は関与しなかった。減量の効果としては、血圧、ウエスト囲、TG、TC、血糖、HDL-Cが改善していた。介入によって、メタボリックシンドロームは、介入前84人が介入後には52人に改善していた。 2.東アジアにおけるメタボリックシンドローム発症における遺伝と環境の関与 島根県雲南市、寧夏回族自治区銀川市において、メタボリックシンドロームのコホート研究ベースライン調査を行った。 雲南市では、日本糖尿病学会の診断基準によれば糖尿病有病率は8%、メタボリックシンドロームは10%であった。20-59歳までは、男性が女性よりも糖尿病とメタボリックシンドロームの有病率が有意に高いが、閉経後の60-70歳代では性差はなくなった。メタボリックシンドローム有病者は、内臓肥満を有し、高インスリン血症(インスリン抵抗性)を認めた。糖尿病は、ヘモグロビンAICは高いが、内臓肥満や高インスリン血症の程度は正常とメタボリックシンドロームの中間であった。掛合町に多い糖尿病は、メタボリックシンドロームから糖尿病に進展した人よりも、遺伝的にインスリン追加分泌の低下した糖尿病であることと考えられた。 寧夏医学院附属病院において労働者691人を対象に、国際糖尿病連盟による判定基準を用いて、メタボリックシンドロームの疫学調査を行った。BMI25以上の割合は、男性42%、女性13%であり、同年代の日本人男性28%、女性20%よりも男性で有意に高率、女性では低率であった。中国西部の男性労働者は日本人よりも肥満傾向にあった。メタボリックシンドローム有病率は男性23%、女性10%と男性で高率であることが明らかになった。 両国のメタボリックシンドロームの病態は、遺伝とともに炭水化物摂取などの生活習慣によることが示唆された。
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