2007 Fiscal Year Annual Research Report
各種増殖因子の細胞内動態を指標とした皮膚損傷の分子細胞生物学的エイジング
Project/Area Number |
18590642
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
青木 康博 Iwate Medical University, 医学部, 教授 (90202481)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高宮 正隆 岩手医科大学, 医学部, 講師 (30364334)
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Keywords | 損傷 / サイトカイン / 増殖因子 / 皮膚 / beads suspension array / quantitave PCR |
Research Abstract |
【目的】損傷の受傷後経過時間は法医学的に重要な情報の一つである。従来、皮膚損傷受傷後経過時間推定に関する検討は、主として免疫組織学的手法を用い定性的に行われてきた。今回、サイトカイン発現を多因子について遺伝子レベル、タンパクレベルで定量的に分析し、法病理的診断への応用の可能性を探った。 【方法】受傷時期の明らかなヒト切創、刺創、裂創、挫創を対象とし、剖検時、創縁を含めて幅5mmの部分を採取した。組織学的検索を目的として、細胞マーカーを用いた免疫染色を行った。また17種のサイトカインについてbeads suspension arrayを用い、タンパクレベルでの定量的検討を行った。さらにquantitative PCRを用いて、サイトカイン13種の遺伝子発現解析を行った。 【結果および考察】組織学的には、好中球、マクロファージの受傷後中期からの、TおよびBリンパ球の後期からの浸潤を、また線維芽細胞の後期における強い増殖を認めた。タンパクレベルでのサイトカイン定量解析では、IL-5、IL-10、IL12p70、IL13、IL17、GM-CSF、IFN-γ、TNF-αの受傷後早期からの、IL-6、MCP-1の中期の、IL-1β、IL-2、IL-4、IL-8、G-CSF、MIP-1βの受傷後中期から後期にかけての発現の上昇を認めた。また、IL-7は創傷治癒過程で発現が抑制されていた。なお、遺伝子レベルでの発現動態に関しては、検討を続行中である。タンパクレベルにおいては、IL-5、IL-10、IL12p70ねIL13、IL17、GM-CSF、IFN-γ、TNF-αは急性期の指標となることが示唆された。皮膚損傷受傷後経過時間推定における免疫組織学的手法の有用性に関しては諸家により報告されているが、本定量的検討で経時的変動が認められたことから、定量解析も推定の一助になると考えられたる。
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Research Products
(1 results)