2007 Fiscal Year Annual Research Report
下部消化管疾患におけるフォスフォリパーゼA2の遺伝子変異に関する研究
Project/Area Number |
18590687
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松本 主之 Kyushu University, 大学病院, 助教 (10278955)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯田 三雄 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (00127961)
江崎 幹宏 九州大学, 大学病院, 助教 (50335957)
矢田 親一朗 九州大学, 大学病院, 助教 (00346800)
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Keywords | フォスフォリパーゼA2 / 家族性大腸腺腫症 / 疾患修飾遺伝子 |
Research Abstract |
細胞質ホスホリパーゼA_2(cPLA_2α)は膜リン脂質からのアラキドン酸遊離を制御する酵素であり、マウスやヒトにおいて腸管ポリープの形成に関わる可能性が示唆されている。一方、大腸に腺腫が多発する家族性大腸腺腫症(以下FAP)は家系間や家系内で臨床徴候が異なっている。そこで、FAPにおいてcPLA_2αが疾患修飾遺伝子か否かを検討した。臨床的にFAPと診断され、遺伝子解析の同意を得られた59家系73例(男性36例、女性37例)を対象とした。国際HapMapプロジェクトのデータベースに基づいて選択したcPLA_2αの7個の単塩基多型(SNPs;rs3820185、rs17591814、rs12746200、rs12749354、rs12042344、rs12144159、rs4402086)をダイレクトシークエンス法で解析し、臨床所見(大腸腺腫数、大腸癌、胃底腺ポリポーシス、胃腺腫、十二指腸腺腫、乳頭腺腫、網膜色素上皮過形成、骨腫、デスモイドの有無)との関連を検討した、胃底腺ポリポーシスの有無でrs3820185のアレルC(OR2.50;95%CI1.27-4.84;p=0.011)およびrs12746200のアレルG(OR2.59;95%CI1.06-6.35;p=0.034)の頻度が有意に異なっていた。他のSNPsと臨床徴候に有意な関係はみられなかった。rs3820185アレルCとrs12746200アレルGについて、性、年齢、APC変異、H.pylori感染の有無を調整したところ、これらは胃底腺ポリーポーシスの発生に有意な影響を及ぼさなかった。以上より、cPLA_2αはFAPの疾患修飾遺伝子である可能性は低いと推測した。
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Research Products
(3 results)