2007 Fiscal Year Annual Research Report
大血管症と細小血管症・微小血管障害に対するアディポネクチンの有効性に関する研究
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18590780
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
小島 淳 Kumamoto University, 医学部附属病院, 助教 (50363528)
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Keywords | アディポクチン / 虚血性心疾患 / 冠動脈プラーク / 血管内超音波 / Virtual Histology / 喫煙 |
Research Abstract |
本研究の目的は大血管から細小・微小血管レベルに至るまで、アディポネクチンの作用や有効性を臨床的に明確にし、虚血性心疾患における日本人のための最適な治療方針を見いだすことである。平成19年度も昨年と同様にアディポネクチンと大血管症に関する臨床研究をおもに行ってきた。女性の急性心筋梗塞(AMI)後の予後は不良であることが知られているが詳細は不明である。AMI後の予後に関して男女別にアディポネクチンの経時的変化に違いがあるか検討した。AMIを発症した114名の男性と42名の女性が対象である。観察期間中主要心イベントは女性が多く、予後因子で調整しても5.6倍女性のほうが高かった。特にAMI1年後までの予後規定因子はKillip分類(p<0.001)と性差(p<0.05)であった。入院時女性のアディポネクチンレベルは男性よりも有意に高く(8.66μg/mL[6.6-14.08]vs4.71μg/mL[3.47-7.27],p<0.0001)、AMI後も同様であった。多変量解析の結果、男性では入院時のアディポネクチンレベルが(p<0.0001)、女性では入院時と退院時のアディポネクチンの差が独立した予後因子であった(p<0.05)。つまりAMI後のアディポネクチンレベルの経時的変化は男女間で異なっており、AMI後の予後を予測するのに有用であると考えられた(Atherosclerosis2007;194:204-213)。非糖尿病患者におけるアディポネクチンの役割について検討するために、耐糖能異常(IGT)や非糖尿病で冠動脈疾患(CAD)を有する男性患者においてアディポネクチンレベルを測定した。その結果IGT患者は耐糖能正常である患者より有意にアディポネクチンレベルが低下しており(4.47μg/mL[3.23-6.39]vs5.85μg/mL[3.99-8.65],p=0.003)、多変量解析の結果アディポネクチンレベルはIGTと関係していた(OR:0.623,95%CI:0.397-0.980,p=0.041)。CADを有する非糖尿病患者ではCADを有さない非糖尿病患者に比べてアディポネクチンレベルは有意に低下しており(4.60μg/mL[3.32-6.38]vs6.08μg/mL[4.10-9.88],p<0.001)、多変量解析の結果アディポネクチンレベルはCADと関係していた(OR:0.432,95%CI:0.256-0.728,p=0.002)。つまり非糖尿病の男性患者において、アディポネクチンレベルによりCADに関する情報を提供する可能性が示唆された(Circ J2007;71:1703-1709)。
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Research Products
(3 results)