2008 Fiscal Year Annual Research Report
大血管症と細小血管症・微小血管障害に対するアディポネクチンの有効性に関する研究
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18590780
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
小島 淳 Kumamoto University, 医学部附属病院, 助教 (50363528)
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Keywords | アディポネクチン / 虚血性心疾患 / 冠動脈プラーク / 血管内超音波 / Virtual Histology / 喫煙 |
Research Abstract |
平成20年度は喫煙者が禁煙することによりアディポネクチンレベルが上昇するのか臨床的に検討した。安定狭心症の男性患者のうち、冠動脈ステント留置術並びに6ヶ月後の確認造影を施行した連続72名(非喫煙者47例、喫煙者25例)を対象として、べースライン(ステント留置術施行時)及び6ヶ月後のアディポネクチンレベルを測定し、喫煙状態との関連を検討した。非喫煙者(n=47)では、べースラインと6ヶ月後においてアディポネクチンレベルに有意差は認められず(4.22[3.15-6.43]vs4.58[3.03-6.26]μg/mL, p=0.124)、また喫煙者のうち6ヶ月後まで喫煙を継続していた継続群(n=10)でも有意差は認められなかった(4.77[4.25-10.53]vs5.16[4.11-8.10]μg/mL,p=0.721)。一方、喫煙者のうち6ヶ月間禁煙をした禁煙群(n=15)では、有意なアディポネクチンレベルの増加が認められた(4.24[3.30-5.70]vs5.50[4.03-8.00]μg/mL, p=0.002)。さらに喫煙者のみを対象として検討したところ、継続群と禁煙群それぞれでは、べースラインと6ヶ月後における体重、BMI、空腹時血糖、HDLコレステロール、中性脂肪、CRPについて有意差は認められなかった(禁煙群においてのみLDLコレステロールは有意に低下していた[126.5±32.3vs107.4±26.2mg/dL, p=0.014])。さらにアディポネクチンレベルの上昇に寄与する因子について検討を行ったところ、単変量解析では禁煙(r=0.611,p=0,003)が正の相関を、β遮断薬の追加投与(r=-0.403,p=0.049)が負の相関を示した。またHDLコレステロールの増加(r=0.302,p=0.148)及びACE阻害薬/ARBの追加投与(r=0.371,p=0.069)も正の相関を、中性脂肪の増加が負の相関を認める傾向があった(r=-0.308, p=0.140)。多変量解析を行った結果、禁煙はアディポネクチンレベルの上昇に対し独立した規定因子であることが明らかとなった(B=0.490[0.035-0.945],β=0.477, p=0.036)。禁煙がアディポネクチンレベルの上昇に影響を及ぼす可能性が臨床的に示唆された(J Cardiol2009)。
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Research Products
(4 results)