2009 Fiscal Year Annual Research Report
大血管症と細小血管症・微小血管障害に対するアディポネクチンの有効性に関する研究
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18590780
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
小島 淳 Kumamoto University, 医学部附属病院, 助教 (50363528)
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Keywords | アディポネクチン / 虚血性心疾患 / 冠動脈プラーク / 血管内超音波 / Virtual Histology / 喫煙 |
Research Abstract |
平成21年度はアディポネクチンと冠動脈プラーク組成との関係および細動脈である眼動脈血流パターンの全身の動脈硬化に対する影響を臨床的に検討した。まずアディポネクチンと冠動脈プラーク組成との関係について、対象は有意狭窄を持つ冠動脈疾患患者連続92例92病変であり、冠動脈インターベンション前に冠動脈内超音波-Virtual Histologyを施行した(Virtual Histologyによりプラーク成分を4種類[fibrous, fibro-fatty, dense calcium, necrotic core]に分類することができるが、この中でnecrotic coreは急性冠症候群の原因であるプラーク破裂をおこしやすい組織であると考えられている)。その結果、アディポネクチンレベルはプラークボリューム(r=-0.297, P=0.004)やnecrotic coreボリューム(r=-0.306, P=0.003)と負の相関を認めた。多変量解析を行ったところ、necrotic coreボリュームはスタチン使用(β=-21.68,P=0.004)やアディポネクチンレベル(β=-31.25, P=0.038)と密接に関係していた。低アディポネクチン血症では冠動脈プラーク内のnecrotic coreを占める領域が多く、かかる症例はスタチンを投与することによりnecrotic coreを含むプラーク形成を抑制できることが予想された。続いて心臓カテーテル検査と眼動脈ドップラーを施行した180例(冠動脈疾患90例とコントロール90例)を対象に、眼動脈血流パターンが全身の動脈硬化と関係するのか検討した。動脈コンプライアンスの指標である一回拍出量と脈圧の比は、眼動脈血流パターンより求められる収縮期と拡張期の平均速度の比(Sm/Dm)と密接に関係していた。冠動脈病変枝数が増えるに従ってSm/Dmレベルは上昇した(0枝病変:2.1±0.3 1枝病変:2.3±0.3 多枝病変:2.6±0.5, P〈0.0001)。Sm/Dmレベルは年齢、脈圧、脈波速度、眼動脈の抵抗指標、拍動指標と正の相関が見られた。冠動脈疾患の存在を予期させるSm/Dmの最良のカットオフ値は2.3であり、Sm/Dm>2.3である患者は冠動脈疾患である可能性が8.0倍であった。つまり眼動脈血流パターンは冠動脈疾患の重症度を反映するものと考えられた。よって大血管症とアディポネクチンは深く関係していることはこれまでの我々の研究も含めわかっていたが、大血管症に付随して細小血管症もアディポネクチンと十分関与している可能性があることが示唆された。
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Research Products
(4 results)