2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18591132
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Clinical research Center, Chiba-East National Hospital, National Hospital Organization |
Principal Investigator |
松村 竜太郎 独立行政法人国立病院機構, 千葉東病院臨床研究センター・病態機能研究部, 部長 (70246742)
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Keywords | 糖鎖 / 肺線維症 |
Research Abstract |
本研究の目的は、肺線維症における多機能糖鎖結合分子のガレクチンファミリーの一つであるガレクチン-3の役割を明らかにするために、マウスを用いた実験系を行うことである。予定通りに肺線維症感受性のマウスにガレクチン-3欠損マウスをバッククロスして順調に実験用のマウスが揃い始め、ブレオマイシン投与による肺線維症誘発を行う直前まで準備は進んでいた。 ただ実験計画書提出時と状況が多少変化したために、当初の予定とやや異なる実験を先行して行わざるを得なくなっている。ひとつは、本研究の基礎データとなっているヒトにおける肺線維症におけるガレクチン-3の役割の研究の追加実験が必要になったことであり、ふたつめは途中で実験代表者が変更にあったことである。ヒトにおける結果が認められなければ本研究の意義自体が疑問となるために、やむを得ずマウスを用いた実験系は後回しにせざるを得なかった(勿論、研究費はマウスの実験系に用いるものにしか使用されていない)。幸いなことに追加実験によりガレクチン-3がヒトの特発性間質性肺炎と膠原病や血管炎に伴う間質性肺炎に重要な役割を果たしていることがさらに明らかになった。 具体的には、1.実験計画書でも既に示したようにガレクチン-3がヒト肺線維症や間質性肺炎の局所、特に肺胞マクロファージ中で増加していること、2.さらに新たに明らかになった結果として、ガレクチン-3はマクロファージ自身を刺激してTNF-αとインターロイキン-8を産生して、それぞれ肺の炎症と血管新生を通じて病態に関与している可能性を示唆したこと、3.そして最後にガレクチンー3が直接に線維芽細胞の局所への遊走とコラーゲン産生を誘導することを明らかにした。 これらの新たな結果を追加してまとめ、下記の通りの論文を作成、受理されている。それをもって現在、予定にあるマウスの実験を再び開始している段階である。
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