2006 Fiscal Year Annual Research Report
休止期腫瘍細胞制御を加味した低〜中線量率照射並びに分割照射効果の解析
Project/Area Number |
18591380
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
増永 慎一郎 京都大学, 原子炉実験所, 助教授 (80238914)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻井 良憲 札幌医科大学, 医学部, 講師 (20273534)
田野 恵三 京都大学, 原子炉実験所, 助教授 (00183468)
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Keywords | 休止期腫瘍細胞 / 照射線量率効果 / 低酸素特異的細胞毒 / 低温度温熱処置 / 連続的皮下投与 / 中性子捕捉療法 / 血管標的物質 / トランスフェリン結合PEGリポソーム |
Research Abstract |
低〜中線量率照射時における休止期(Q)腫瘍細胞の反応と低酸素細胞毒投与併用の意義について検証したところ、低LET放射線のγ線だけでなく高LET放射線の原子炉熱中性子線ビームの照射時においても、低〜中線量率照射時にQ腫瘍細胞においてより顕著に見られる回復現象による殺腫瘍細胞効果の減弱を、低酸素細胞毒(TPZ)投与の併用、特に皮下への連続的投与によって効果的に補う事ができた。さらにこの低酸素細胞毒の連続的投与は、低温度温熱処置との併用によっていっそう効果的になり、放射線抵抗性のQ腫瘍細胞の制御のための非常に有用な手法と考えられた。TPZの腹腔内投与と比べた連続的投与による殺細胞効果の増強は、一時的ではあるが腫瘍内の様々な部位に生ずる急性低酸素細胞に対してもTPZが効果的に作用し得たためであり、低温度温熱処置の併用によって分布するTPZの量も増加したためであろうと考えられた。この低温度温熱処置に関しては、前年度までに開発済みの中性子捕捉療法用の新規化合物TX-2100の投与と併用することによって、殺腫瘍細胞、特にQ腫瘍細胞に対する効果が顕著に増加することも明らかになっている。他方、今年度は血管標的物質ZD-6126の固形腫瘍に対する作用に関しても考察が加えられ、薬剤処置や放射線照射などの抗癌治療との併用投与を行う際には処置の順序がQ腫瘍細胞に対する効果も含めた殺腫瘍細胞効果全体を左右する非常に重要なファクターになることも明らかとなった。一方、中性子捕捉療法に関する研究では、Borocaptate-10B(BSH)に近似したケージ型の熱中性子捕捉化合物であるGB-10を封入させたトランスフェリン結合PEGリポソームが、BSHを封入した同様のリポソームよりも、腫瘍組織に硼素-10をより特異的に分布させることができ、かつQ腫瘍細胞に対する効果も含めた殺腫瘍細胞効果を顕著に増感ことが明らかとなった。今後は、高LET放射線である加速炭素イオン線を用いた照射線量率効果、より低い低線量率でガンマ線を照射した場合の殺腫瘍細胞効果、特異的に固形腫瘍部のみで殺細胞効果を有する物質に変換され正常組織では無毒な薬剤のQ腫瘍細胞への効果も加味した評価(遺伝子組換腫瘍細胞を用いた評価も含む)、などを計画している。
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Research Products
(7 results)