2006 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト末梢血リンパ球の放射線誘発アポトーシスにおける新しい経路の証明
Project/Area Number |
18591382
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
小川 恭弘 高知大学, 医学部, 教授 (90152397)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 俊博 高知大学, 医学部, 助手 (40153621)
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Keywords | リンパ球 / アポトーシス / 放射線治療 / 放射線増感剤 / 放射線感受性 / 過酸化水素 |
Research Abstract |
ヒト末梢血リンパ球およびT細胞の放射線誘発アポトーシスにおけるリソソーム経路(lysosomal pathway)の関与の存在を解明し、塩化アンモニウムによるその防護作用を明らかにすることによって、種々の正常細胞における放射線誘発アポトーシスの制御を可能とする。さらには、放射線抵抗性の難治癌の治療にあたってこのようなリソソーム経路の活性化という新しい発想を用いることにより、放射線抵抗性腫瘍を放射線高感受性に変換し、癌放射線治療の最適化・個別化に新たな展望を拓くことを目的とする。 上記の目的にて、研究を開始したところ、過酸化水素による放射線増感作用を実際の放射線抵抗性腫瘍に対する放射線治療において、これが応用可能であることを見出し、マウス等を用いた動物実験の結果を基に、本学医学部倫理委員会の承認のもとに臨床応用を開始した。 まず、KORTUC Iとして、「表在性の局所進行癌に対して過酸化水素の放射線増感作用を利用した放射線治療」という治療法で本学医学部倫理委員会の承認を得た。この方法では、表在性の局所進行悪性腫瘍に対して、過酸化水素水(オキシドール)に浸したガーゼをボーラスとして照射時に腫瘍表面を被覆して使用するものである。 次に、KORTUC IIとして、「低濃度の過酸化水素とヒアルロン酸を含有する放射線増感剤の腫瘍内局注による増感・放射線治療/化学療法-皮膚や骨・軟部組織、乳房などの局所進行癌および転移リンパ節に対して」という治療法で本学医学部倫理委員会の承認を得た。表面に露出していない腫瘍に対しては過酸化水素を腫瘍内部に注入する必要があることから、この方法では、過酸化水素の患部への刺激を軽減し、人体に注入しても安全で、かつ過酸化水素の分解を遅延・抑制させて、放射線増感効果を有効に発揮できるように工夫した局注用の放射線増感剤を新しく開発した。これは、0.5%過酸化水素を含有する0.83%ヒアルロン酸ナトリウムであり、この最大量3mlを、週1〜2回、放射線治療の直前に主にパワードプラ超音波ガイド下に腫瘍局所に注入し、良好な治療効果を得た。
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