2006 Fiscal Year Annual Research Report
肺癌定位照射の肺毒性とその生物学的および物理学的先行指標に関する研究
Project/Area Number |
18591384
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
塩山 善之 九州大学, 大学院医学研究院, 助手 (10323304)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 和正 九州大学, 大学病院, 助手 (20284507)
大賀 才路 九州大学, 大学病院, 医員 (90380427)
本田 浩 九州大学, 大学院医学研究院, 教授 (90145433)
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Keywords | 肺癌 / 放射線 / 定位照射 / 肺毒性 / 先行指標 |
Research Abstract |
「目的と方法」 肺腫瘍に対する定位照射の治療成績を解析し、治療後の肺毒性予測に関する肺炎分子マーカー(KL-6およびSP-D)の有用性を明らかにすることを日的とし、2003年4月〜2006年3月までに定位照射を施行し、6ヶ月以上の経過観察を行った原発性肺癌92例、転移性肺癌17例、計109例を対象として解析した。定位照射は、固定6-8門、1回6-12Gy、総線量48-60Gy、4-17日間で行った。計画的標的体;PTVは7-166cm^3(中央値32cm^3)であった。これらの症例の生存率、局所制御率および肺毒性(CTCAE v3.0)について解析した。また、治療前の血清間質性肺炎マーカー(KL-6、SP-D)を測定し、その血清中レベルと治療後の肺毒性との関係について検討した。観察期間は6-32ヶ月(中央値14ヶ月)であった。 「結果」 全体の2年粗、原病生存率および局所制御率は、それぞれ89.9%、96.2%、90.2%と良好であったが、Grade3以上の肺有害事象は11例(10%)であり、これら全例は治療後6ヶ月以内に認められることがわかった。5Gy,10Gyおよび20Gy以上照射される正常肺の照射容積(V5,V10およびV20)は、それぞれ5.5-43.0%(中央値19.5%),3.5-30.2(中央値11.0%),1.7-16.5(中央値5.4%)、平均肺線量は1.4-10.1Gy(中央値3.8Gy)、治療前の血清中のKL-6、SP-D値は、それぞれ129-1853U/ml(中央値300U/ml)、17-312ng/ml(中央値62ng/ml)と症例により比較的大きなばらつきがあった。これらの諸因子とGrade3以上の肺毒性との単変量解析を行った結果、KL-6:300U/ml以上(55例)、SP-D:62ng/ml以上(57例)、PTV:32cm^3以上(55例)では、それぞれ20%の症例でGrade3以上の肺毒性が認められたのに対し、それぞれの対照群(1-2%)と比較し有意に高かった(p=0.002-0.007)。 「結論」 肺腫瘍に対する定位照射の治療成績は良好であるが、10%に治療を要する肺毒性がみられた。血清中KL-6、SP-D値、腫瘍体積は肺癌の定位照射を行う際、治療後の肺毒性を予測する有用な因子であることが示唆された。現在、論文準備中である。また、さらに症例を蓄積するとともに、その他の血清マーカーについても解析中である。
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