2009 Fiscal Year Annual Research Report
肺癌定位照射の肺毒性とその生物学的および物理学的先行指標に関する研究
Project/Area Number |
18591384
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
塩山 善之 Kyushu University, 医学研究院, 講師 (10323304)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大賀 才路 九州大学, 大学病院, 助教 (90380427)
本田 浩 九州大学, 医学研究院, 教授 (90145433)
|
Keywords | 肺癌 / 放射線 / 定位照射 / 肺毒性 / 先行指標 |
Research Abstract |
「目的と方法」肺腫瘍に対する定位照後の肺毒性、特に臨床的放射線肺臓炎の治療前予測或いは治療後早期診断に有用な生物・物理学的先行指標を明らかにすることを目的とし、2003年4月~2008年12月までに組織・細胞学的検査により確認されたI期非小細胞肺癌130例(T1:96例、T2:34例)。男性87例、女性43例、年齢中央値76才、腫瘍型は8-50mmである。定位照射は、固定6-8門照射、線量/分割は48 Gy/4回:127例、60 Gy/10回:3例。臨床的肺臓炎の定義としては、CTCAE ver. 3の重症度分類にてGrade2以上とした。なお、経口ステロイド投与を要したものはGrade2に分類した。 「結果」Grade2以上の肺臓炎の累積発生頻度は全体で10%(T1:7%、T2:14%)と推定され、その90%以上の症例が治療後6ヵ月以内に生じた。これらの臨床的肺臓炎の発生と治療前の血清KL-6値、SP-D値、計画的標的体積(PTV)および性別(男性で高リスク)が有意に相関した。肺V5-V20、平均線量などのDVHパラメーターも肺臓炎発症例では大きい傾向にはあったが統計学的有意差は認められなかった。肺臓炎発症例では血清KL-6, SP-D値の上昇を認めたが、治療後早期の変化率と臨床的肺臓炎との関連は見出せなかった。また、これらの血清マーカーは治療後1年程度で正常化する症例が多く、画像的変化と比較的一致した。 「考察」肺癌定位照射後の臨床的肺臓炎予測において、性別、計画的標的体積、治療前の血清KL-6値、SP-D値が有用と考えられた。定位照射後の肺臓炎には、DVHパラメーターなどの物理的因子以上に患者側因子(生物学的要因)が、その発症リスク評価の上でより重要である可能性が示唆された。今後、定位照射においては、より大きな腫瘍を対象にした線量増加や補助化学療法併用の検討がされている。本研究の結果は定位照射における肺毒性の治療前リスク予測に有用と考えられ、更にその重要性を増すと考えられる。
|