2006 Fiscal Year Annual Research Report
自己細胞と生分解性ポリマーによる再生血管の作成と遠隔期における機能および質的評価
Project/Area Number |
18591563
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
松村 剛毅 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (20297469)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒澤 博身 福井大学, 工学部, 教授 (50075511)
新岡 俊治 東京女子医科大学, 医学研究科, 教授 (20192122)
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Keywords | 再生医療 / ティッシュエンジニアリング / 再生血管 / 生体吸収性ポリマー / 骨髄細胞 / 下大静脈グラフト / 遠隔成績 / フォンタン手術 |
Research Abstract |
我々は生体吸収性ポリマーを足場(Scaffold)として、自己骨髄細胞をそれらに播種培養することで生体内で目的組織を作製するTissue Engineeringの手法を用いた再生血管の研究を行っている。実験はビーグル犬を用いた。全身麻酔のもと骨髄細胞を採取し、密度勾配法により骨髄単核球細胞を分離する。それをポリカプロノラクトンとポリ乳酸からなるスポンジ状共重合体ポリマーをポリグリコール酸で補強したハイブリッドポリマー上に播種する。インキュベータ内にて自己血清に浸した状態で1-2時間培養し、右開胸下に下大静脈に移植する。1、3、6、12ヶ月まで観察した後、採取した再生組織の成熟度およびその経時的変化、播種した骨髄細胞のポリマー内での影響を評価する。 下大静脈グラフトは移植後約2週間を過ぎた時点より内腔面は徐々に内皮化されてゆく。1ヶ月の時点ではvon Willebrand Factor陽性の細胞が血管内腔面に一層に集積している様子が免疫組織化学染色で確認されており、血管内皮細胞の成熟が認められた。また血管壁を構築する血管平滑筋および膠原線維、弾性線維などの細胞外マトリックス(ECM)も経時的に増殖傾向を示した。補強材として用いているポリグリコール酸は約8週間で分解・吸収され、それに伴い移植後2〜3ヶ月の時点ではNative静脈に近い壁構造を持つ再生血管が作成可能であった。 我々はこれらの基礎実験を背景に2000年より、先天性心疾患患者に対する再生血管を用いた血行再建術の臨床応用(Fontan手術(TCPC)または肺動脈パッチ)を始めており、最長で5年以上の長期成績を評価してきた。動物実験レベルでも2〜3年の長期間観察症例を得ており、肉眼的評価および組織学的検討を行っている。また、既存の人工血管と比較しての石灰化、血管壁のリモデリングなどの解析も行う予定である。現在、ポリマーに播種する細胞の起源として骨髄細胞単核球成分を用いているが、より簡便で、より安全な採取方法および培養方法の検討も行っている。
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