2007 Fiscal Year Annual Research Report
脳腫瘍に対する温度可逆性ポリマーを用いたドラッグデリバリーシステムの開発
Project/Area Number |
18591611
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
常喜 達裕 Jikei University School of Medicine, 医学部, 講師 (30226378)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤ヶ崎 純子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (60312021)
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Keywords | 脳腫瘍 / ドラッグデリバリー / ポリマー / プロテオソームインヒビター |
Research Abstract |
近年、プロテオソームインヒビター(PI)による悪性腫瘍への効果が報告されている。成人領域では骨髄腫や固形腫瘍でも一定の効果を見いだしている。脳腫瘍は、小児期から成人期に及ぶ発症期間を持ち手術、化学療法、放射線療法を用いた集学的治療が行われているが依然予後が不良な疾患である。化学療法の効果が乏しい原因の一つに脳血管関門の存在があげられ薬剤が使用局所に到達しにくい現状が存在する。我々は、以前より温度可逆性ポリマーを用いた新たなドラソグデリバリーシステムを用いて脳腫瘍の新たな治療法を模索してきた。今年度は、小児脳腫瘍である髄芽腫から作成されたDAOY,ONS-76,D283と成人脳腫瘍細胞から作成されたU87MG,T98Gの5細胞を用いてPIの一種であるMG132(CALBIOCHEM社)がこれらの細胞に対して殺細胞効果を持つかどうかをMTS assayとFACscanを用いて検討した。MG132の殺細胞効果を判定するために投与の度を1nMから10μMまで濃度勾配をもうけて殺細胞効果を判定した。この結果、1μMの濃度ではすべての細胞が、薬剤暴露時間24時間後からGI arrestの状態となり細胞分裂を停止しすることが判明した。PIがどのように細胞に作用しているかを観察するために蛍光免疫染色を行いました。1μMのPIに24時間暴露した細胞を染色したところ細胞質内に大量のユビキチン化したタンパクを認めた。このことから、PIに暴露された脳腫瘍細胞は、細胞質内に多量のユビキチン化されたタンパクが蓄積することにより細胞増殖に影響が生じ細胞死に至っている可能性が推測された。
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