2008 Fiscal Year Annual Research Report
咀嚼器官によるアルツハイマー病の予防効果に関する研究
Project/Area Number |
18592149
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
木本 克彦 Kanagawa Dental College, 歯学部, 教授 (70205011)
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Keywords | 咬合干渉 / フリーラジカル / 歯の喪失 / MC-PROXYL / 老化促進モデルマウス / ESR |
Research Abstract |
近年、歯の喪失や咬合干渉によって引き起こされる咀嚼機能不全は、高次脳へ影響を及ほすことが示唆されている。このようなことから、本研究は、口腔環境因子とアルツハイマー病をはじめとした認知症との関連性を知る目的で、脳内の神経伝達物質やフリーラジカルの動態について調べる。本年度は、昨年に引き続き脳内のフリーラジカルの動態について2つの実験を行った。 実験1:歯の喪失による影響 実験動物として老化アミロイドーシス、学習・記憶障害を発症する老化促進モデルマウス(以下SAMPと略す)を使用した。実験方法はSAMPマウスの2ヶ月齢時に上顎臼歯部を全て抜歯し、抜歯群(咀嚼不全群)と非抜歯群(コントロール群)に分類し、3、6、8ヵ月後、ESR装置を用いて脳内のフリーラジカルの変化すなわち脳のMC-PROXYLの減衰速度を測定し、比較検討を行った。その結果、抜歯後3,6,8ヶ月後では両群間に有意な差は認められなかったものの、抜歯群の方が非抜歯群(コントロール群)に比べて、MC-PROXYLの減衰速度が増加する傾向を示した。今後は、再実験と例数を増やすことによって、この結果の妥当性を検証する予定である。 実験2:咬合干渉による影響 実験動物にはWistar-Kyotoラットを使用し、5ヶ月齢時の上顎臼歯部に実験的咬合干渉を付与し、コントロール群との比較検討を行った。その結果、咬合干渉群ではMC-PROXYLの減衰速度が有意に増加し、酸化ストレスが誘導されていることが明らかになった。
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