2009 Fiscal Year Annual Research Report
アクションリサーチに基づく看護教育における「隠れたカリキュラム」に関する研究
Project/Area Number |
18592313
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Research Institution | Kio University |
Principal Investigator |
澁谷 幸 Kobe City College of Nursing, 看護学部, 講師 (40379459)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 直美 神戸大学, 保健学研究科, 講師 (70305704)
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Keywords | 隠れたカリキュラム / アクションリサーチ / 看護教育 |
Research Abstract |
本研究では、看護教育におけるHidden Curriculum(以下、H.C.)の様相を明らかにするために、アクションリサーチの手法を用い、3年間5回にわたって、看護教員と臨床指導者によるH.C.に関するフォーカスグループディスカッションを実施した。その結果、以下の3点が明確になった。 1. 看護教育におけるH.C.は「教員への外的統制」「教員に内在する要因」「学校に存在する教育環境要因」「指導者への外的統制」「指導者に内在する要因」「実習施設に存在する教育環境要因」「メッセージ性のある教育活動」の7領域のアウトカムとして存在する可能性がある。 2. 看護教育におけるメッセージ性のある教育活動は、「職業教育への偏重」「多様な看護実践活動の様相」「不十分な実習教育環境」「古典的看護教育の残存」の4領域の教育活動であった。これらの教育活動により学生が学ぶH.C.は、「看護における困難な局面の強調」「低い自己評価」「学習動機の喪失」「看護の理想と現実の認知」「古い教育観による学習姿勢の刷り込み」「不適切な組織適応の様式の習得」であった。 3. 5回のフォーカスグループディスカッションの結果、参加者にH.C.の意識化による変化が見られた。参加者は、アクションリサーチ参加前の自己の状態として「教育観の迷い」「教育活動の不全感」「不透明/ネガティブな教師像」として語っていたが、研究活動参加後は、「将来像への展望」「自己モニタリング能力の獲得」「新たな教育観の獲得」の3局面が変化として語られた。 以上の結果より、看護基礎教育におけるH.C.は、看護教育の成果に否定的影響を与えている可能性があり、また、H.C.という概念を導入することによって、看護教育者のリフレクションを促進する可能性が示唆された。よって、看護教育におけるH.C.研究は、効果的な教育活動を促進する上で意義があると考えられる。
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