2006 Fiscal Year Annual Research Report
三角筋注射の安全領域に関する解剖学的研究、肩峰より三横指下は本当に安全か?
Project/Area Number |
18592323
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Saitama Prefectural University |
Principal Investigator |
五味 敏昭 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 教授 (00104159)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺嶋 美帆 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 助手 (90381433)
國澤 尚子 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 助教授 (20310625)
西原 賢 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 講師 (80336495)
坂田 悍教 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 教授 (80178558)
細川 武 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 教授 (40095386)
|
Keywords | 三角筋 / 筋肉注射 / 注射部位 / 腋窩神経 / 後上腕回旋動静脈 / 神経損傷 |
Research Abstract |
看護学教育における重要な看護技術のひとつである「注射部位」について、その安全性の科学的根拠が問われるようになり、早急に再検討の必要に迫られているのが現状である。今回、実験的検証の一環として、「注射部位の安全領域に関する局所解剖学的研究」として三角筋への安全な注射部位について検討した。 三角筋は医療現場で日常よく用いられる部位であるが、刺入部位として、教科書・技術書12件中11件が「肩峰より三横指下」を推奨している。しかし、報告者は長年、解剖学の研究・教育に携わってきたが、三角筋を支配している腋窩神経と後上腕回旋動静脈の走行と位置を鑑みて、三角筋への刺入部位である「肩峰より三横指下」が本当に誰にでも当てはまる安全領域であるのか否か疑問を感じてきた。 三角筋への刺入部位は一般的には「肩峰より三横指下(約5cm)」が推奨されているが、三横指(PIP関節)間の長さは男性平均5.5cm、女性平均5.0cm、最大6.7cm、最小4.4cmであった。腋窩神経は全ての例において、肩峰の後端から腋窩横線(三角筋と大胸筋と、三角筋と大円筋とを結ぶ線)に下ろした垂線の下1/4と1/3から、前端と腋窩横線間との下1/3と1/2とを結ぶ線の範囲内を上行していた。また腋窩神経は肩峰の中央部から平均5.4cm(最小4.1cm)の部位を通過していた。一般的には肩峰中央部から腋窩横線に下ろした垂線(腋窩縦線)の中点の下部を腋窩神経が走行しているが、腋窩縦線の長さが10cm(腋窩縦線の中点が肩峰より5cm)以下の場合、腋窩神経を損傷する危険性が考えられる。腋窩縦線が10cmの揚合、腋窩縦線と身長との相関関係から、概ね身長が155cm以下の場合は注意を要する。またMRI測定の結果、皮膚・皮下組織の厚さは、男性平均5.4cm、女性平均5.7cm、三角筋の厚さは男性平均36.7mm、女性平均32.0mmであった。
|
Research Products
(2 results)