2006 Fiscal Year Annual Research Report
脳卒中予防医療における無症候性脳血管障害患者の看護ケアシステムの開発に関する研究
Project/Area Number |
18592355
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山本 直美 神戸大学, 医学部, 講師 (70305704)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津田 紀子 宮崎大学, 医学部, 教授 (80172021)
登喜 和江 神戸市看護大学, 看護学部, 助教授 (00326315)
澁谷 幸 神戸大学, 医学部, 助手 (40379459)
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Keywords | 脳卒中予防医療 / 無症候性脳血管障害 / 脳ドック / 病気体験の意味 / 予防的保健行動 / 看護ケアシステム |
Research Abstract |
本年度は無症候性脳血管疾患患者、特に予防的手術を選択し後遺症を残した患者、及び自然経過観察を選択した患者の病気体験の探究が課題であった。しかしながら後遺症を残した患者は医療機関を離れる傾向があり、出会うことが難しい中、若干名の聞き取り調査を実施した。その結果、前者では無症候で健康者としての自己認知が術後には一転し、病者としての自己認知に苦しむ姿が明らかになった。現れた後遺症は高次機能障害に類し、現実的な生活上の困難は精神的苦痛と共に多く語られた。また、後者は無症候を幸運とし、発症確率を低く見積もる傾向があった。そして、発症の恐れを抱きつつも自分らしく生きることに大きな価値を見出していた。以上の分析から、無症候性患者の劇的で多面的な病気体験が明らかになったが、未だ十分な結果とは言えない。今後も継続しデータ集積に努力する。 また、本研究の方向性を確認し、脳卒中予防医療の課題を的確に認知する必要があると考え、専門知識の提供を受けることを計画し実施した。その概要は、以下の通りである。 1.提供者は医療系ジャーナリスト 2.意見聴取の内容 1)無症候でかつ疾患特性的にがんとは違う新たな脅威が存在するという患者の認識。 2)後遺症を残した患者は医療現場から離れる可能性があり、病気の結末を保証できていない医療へ問題を指摘。 3)脳ドックが病気を作る機会となる可能性への対処が不透明。 4)無症候だからこそ生活の質が維持できなければ予防的医療の意味はない。 以上の内容から、医療者は無症候性脳血管障害を特殊な病気と捉え、医療現場では専門的情報提供者やケア提供者が独自的存在として重要であり、生活の視点(看護モデル)から看護の主体性が医療を支える原動力になるべきと結論づけ、本研究の方向性が確認できたと考える。今後、平成19年度の研究活動は脳ドック施設の看護実践の実態調査を予定している。
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