2009 Fiscal Year Annual Research Report
造血幹細胞移植を主体的に受けるための患者支援プログラムの臨床導入と評価
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18592382
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
森 一恵 岩手県立大学, 看護学部, 教授 (10210113)
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Keywords | 患者教育 / 準実験 / 介入研究 / 造血幹細胞移植 / POMS / 自己決定 |
Research Abstract |
本研究は、内発的動機づけに基づく認知教育理論を用いた「造血幹細胞移植を主体的に受けるための患者支援プログラム(以下、患者支援プログラム)」を開発し、そのプログラムを実際に臨床に導入し、プログラムの効果を評価することである。移植に携わっている看護師の認識について調査(平成18年度)し、開発したプログラムを用いて看護師が患者の認識が理解できるよう学習会(平成19年度)を行った。プログラムが看護師の能力に影響を受けないよう統合的なパンフレットを作成(平成21年度)した。また、現状での患者の困難を理解するためにプログラム適応前の患者(非介入群:平成19~20年度)のデータについて研究協力者と共有し、患者の心理的変化や身体的問題について介入の必要性を認識した。平成20~22年度は作成したプログラムを用いて介入(介入群)を行った。その結果、非介入群と介入群において介入前、介入終了後、介入後2週間の3点について日本語版POMS、日本語版MACについて二元配置反復測定分散分析を行った。日本語版POMSの下位尺度の「活気」において「回答時点」と「介入の有無」による交互作用について有意な傾向が見られた(p<0.1)。そのため、多重比較法の一つであるDunnettの方法を用いて、各群における「活気」の変化を確認したところ、移植に向けて非介入群は「活気」が次第に低下し、介入群は「活気」を維持できることが示唆された。 移植前の超大量の化学療法や全身照射による身体的苦痛が大きくなる時期であっても、総合的な患者支援プログラムによって患者の「活気」は維持され、移植のために無菌室に収容されても患者は前向きにセルフケアに取り組めると考えられた。移植を主体的に取り組めるよう支援することは、患者の前向きなセルフケアを促し、苦痛の大きい移植中の生活においても、より患者の安全で安楽な質の高い看護が提供できると考える。
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Research Products
(3 results)