2006 Fiscal Year Annual Research Report
紫外線照射した食品添加物、農薬の遺伝毒性発現機構の解析とその抑制に関する研究
Project/Area Number |
18602003
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
太田 敏博 東京薬科大学, 生命科学部, 助教授 (10266893)
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Keywords | 変異原性 / 光遺伝毒性 / 紫外線 / チアベンダゾール / マルトール / 食品添加物 / 農薬 / 8-OHdG |
Research Abstract |
ポストハーベスト農薬であるチアベンダゾール(TBZ)が、それ自体には変異原性はないが、近紫外光(波長320nm以上のUVA)の照射で強力な変異原性を示すようになることを見出し、その光変異原性の発現機構を明らかにすることを目的に研究を行った。すでに微生物に対する光変異原性の変異スペクトル解析から、グアニン(G)からチミン(T)への変異が主に誘発されることが判っている。一方、活性酸素によってDNA中に生成される損傷塩基8-ヒドロキシデオキシグアノシン(8-OHdG)はGからTへの変異誘発の要因であることが知られている。 そこで今年度は、サケ精子DNA溶液にTBZを2〜4mg/mlで添加し、15〜60分間UVA照射を行った後、8-OHdGの生成をHPLC-EDCで定量した。陽性対照としてN-ニトロソピロリジンを用いた。その結果、8-OHdG生成量の増加は検出されず、活性酸素生成以外のメカニズムが変異原性に関わっていることが明らかになった。今回の結果は、以前の研究で明らかにしたDNAの酸化的損傷に関与する修復遺伝子(mutM,mutY,soxRS)の欠損変異株で突然変異の増強が見られなかったという事実と矛盾しない。一方、チアゾール、ベンズイミダゾール、2-フェニルベンズイミダゾールについても光変異原性を調べたところ、いずれも陰性であった。したがって、光変異原性発現にはチアゾール環、ベンズイミダゾール環の両方が必要であった。
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