2007 Fiscal Year Annual Research Report
紫外線照射した食品添加物、農薬の遺伝毒性発現機構の解析とその抑制に関する研究
Project/Area Number |
18602003
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
太田 敏博 Tokyo University of Pharmacy and Life Science, 生命科学部, 准教授 (10266893)
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Keywords | 変異原性 / 光遺伝毒性 / 紫外線 / 食品添加物 / マルトール / 複合作用 |
Research Abstract |
マルトールはカラメル臭の着香料として使用される食品添加物である。マルトール自体に変異原性はないが、マルトール溶液を紫外線(UVAまたはUVC)照射することで変異原物質が生じた。サルモネラ菌TA100株とTA97株に対する変異原性が強いことから、塩基対置換変異とフレームシフト変異が誘発されていると考えられた。一方、ヌクレオチド除去修復活性に関して野生株であるTA92株、TA102株、TA1975/pKM101株では変異原性が検出されなかったことから、塩基付加体形成が予想された。サルモネラ菌TA7001〜7006株を用いて突然変異スペクトルの解析を実施した結果、UVA照射マルトールはG:C→T:AおよびG:C→A:T変異を強く誘発し、GC→C:G変異をわずかに誘発するが、A:T→G:C,A:T→T:AおよびA:T→C:G変異は誘発しなかった。UVA照射時の溶媒として、トリス緩衝液などカチオン性とリン酸緩衝液などアニオン性の場合の違い、リン酸緩衝液の濃度、pHの影響、さらに、生理食塩水、純水などの場合での変化を調べた。その結果、リン酸緩衝液(pH6.0-8.0)や炭酸水素ナトリウム溶液(pH9.0)中での生成が多く、生理食塩水、純水中ではほとんど生成しないことが判明した。また、UVA照射したマルトール溶液の変異原性は室温でも1時間は安定であることから、不安定な活性酸素種の関与は少ないと考えられた。実際、活性酸素の作用で生じる8〓ヒドロキシデオキシグアノシン(8-OHdG)の生成量を定量した結果、生成量にわずかな増加が認められたが、変異原性の強さを説明できる生成量ではなかった。
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