2008 Fiscal Year Annual Research Report
紫外線照射した食品添加物、農薬の遺伝毒性発現機構の解析とその抑制に関する研究
Project/Area Number |
18602003
|
Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
太田 敏博 Tokyo University of Pharmacy and Life Science, 生命科学部, 教授 (10266893)
|
Keywords | 変異原性 / 光遺伝毒性 / 紫外線 / 食品添加物 / マルトール / 複合作用 |
Research Abstract |
マルトールはカラメル臭の着香料として使用される食品添加物である。マルトール自体には変異原性はないが、マルトール溶液を紫外線(UVAまたはUVC)照射することで細菌(大腸菌、サルモネラ菌)に対する変異原物質が生じた。マルトールのUVA活性化体は水溶液中、室温で数時間も変異原性の活性を失わないことから、かなり安定した物質と考えられる。本研究ではその生成メカニズムを明らかにするとともに、光活性化体の生成を抑制する因子の検索方法について検討してきた。本年度はUVC照射したマルトール水溶液から変異原物質を単離するための基礎検討を行った。生成する変異原物質の量が極微量であり、また水溶性であるため、HPLCで分画するためのカラムの種類とサイズとを検討した。HPLCで濃縮するためのカラムの種類を10種類ほど検討したが、目的物質を特異的に吸着して濃縮する操作に適したカラムは見つからなかったが、ODS逆相カラムを用いることである程度の分離が可能であることがわかった。また、移動相溶媒の選択についても検討を行ったが、改善はみられなかった。そこで、凍結乾燥法により目的物質の濃縮を試みた。HPLC分画を回収して、濃縮後、変異原性の活性を調べたところ、変異原性活性が確認され、濃縮操作の過程で活性が大きく失われていないことが判明した。この濃縮サンプルを用いてLC/MS分析を行ったが、まだ混在物が多く、分子量の決定にはいたらなかった。今後UVC照射したマルトール溶液から変異原物質を単離・同定するための種々の検討を行う予定である。
|