2009 Fiscal Year Annual Research Report
紫外線照射した食品添加物、農薬の遺伝毒性発現機構の解析とその抑制に関する研究
Project/Area Number |
18602003
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
太田 敏博 Tokyo University of Pharmacy and Life Science, 生命科学部, 教授 (10266893)
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Keywords | 光遺伝毒性 / 変異原性 / 紫外線 / 食品添加物 / 農薬 |
Research Abstract |
マルトール(mw=126)とエチルマルトールはカラメル臭を有し、香料としてパンなどに用いられている食品添加物である。マルトール水溶液そのものは変異原性を示さないが、UVA(ブラックライト)やUVC(殺菌灯)を照射した後にサルモネラ菌TA100株及びTA97株に作用させると変異原性を示すことを見出した。本研究課題で実施してきたこれまでのメカニズム研究で、(1)光活性化物質はUVA照射後1時間は安定であることから活性酸素種ではない。(2)UVA照射マルトールは主にGC塩基対の置換変異を誘発する。(3)システイン添加により光変異原性は速やかに消失する。(4)光変異原性における8-OHdGの関与は小さい。(5)UVC照射マルトール溶液はDNA切断活性を示すことを報告してきた。今年度、ODSカラムを用いたHPLC分析により、UVC照射マルトール水溶液から変異原物質を含む分画を見出し、LC-TOF/MS分析を行った結果、変異原物質は分子量162(水が2分子付加した量)であると推測された。加水分解によるアルデヒドの存在が示唆されたため、変異原分画を2,4-ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)-シリカカートリッジを用いて誘導体を作りHPLCで分析した。多種類のアルデヒド類が生成していることが判明したが、用いた27種の標準品と一致したものはホルムアルデヒドとアセトアルデヒドのみであった。ホルムアルデヒドにはTA100株に対する変異原性が知られているが、UVC照射マルトールの変異原活性の10%程度に相当する検出量(5~9μg/mL)であった。したがって、ホルムアルデヒド以外の物質が主要な変異原物質と考えられ、今後、未同定のアルデヒド化合物の構造について調べていく必要がある。
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