2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18653028
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
森田 英樹 広島大学, 大学院教育学研究科, 講師 (70265940)
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Keywords | 宅地地価修正 / 地租 / 賃貸価格 / 土地税制 / 税制整理委員会 / 非常特別税法 / 純益課税 / 東京市街地 |
Research Abstract |
平成18年度の中心となる具体的な研究は、明治末の「宅地地価修正」事業であった。 都市の特地(=都市部全体を示す)に対する地租の課税対象としての地価は、明治初手の地租改正以来、30年近くの不変のままであった。日清戦争後の賠償金獲得にともなう軍事力増大を主目的とした戦後経営のため、市街宅地の地租は、明治32-36年分の5年間について、従前の2.5%から5%へと改定された。明治37年、5年間の増税期間は終了するが、日露戦争の勃発により、非常特別税法により、8%へと改定され、翌8年には、第二次非常特別税法により、20%へと改定され、明治43年まで続いた。 日露戦争後、明治39年より、税制整理に着手し、その一環として宅地の地価修正も重要議題となった。税制審査委員会、税法整理委員会などにおいて、課税対象を「売買地価」とするか「収益地価」とするか、.更に、「収益地価」の場合、「純益」か「総収入」かで激論が交わされた。結果的に、純益課税法が採用され、それをもとに、「賃貸価格」を算出し、その「賃貸価格」を基準に新しい宅地の課税対象としての地価が算出されることになった。 しかし、「宅地地価修正法案」は、第22回帝国議会に提出されたが、まず、衆議院で、続いて、貴族院で反対や大幅な修正が求められ、明治43年の弟26回帝国議会にて、ようやく可決され、成立した。売買地価ではなく、賃貸価格が採用された背景としては、税負担の公平性を保うためであると私は考えている。 以上のように、法案の変遷過程についての分析は大方、終了したので、現在、東京市街地についての実態についての分析を行っている。近々、それなりの分量の論稿を完成させる予定である。
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