2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18700269
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
上村 昌司 一橋大学, 大学院国際企業戦略研究科, 非常勤研究員 (50323902)
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Keywords | 数理ファイナンス / ポートフォリオ選択問題 |
Research Abstract |
一つめの成果として,部分情報下における連続時間最適消費問題を解いたことが挙げられる.危険資産の期待リターンが線形ガウス過程に従うが,投資家はその期待リターンを完全には観測できないという設定のもとで,有限期間連続時間最適消費問題を考えた.この問題は,期待リターンの持つリスクが市場で完全には取引されていないという意味で非完備市場の問題になる.一般に非完備市場での最適消費問題において計算が容易な最適解を導くのは難しいとされている.今回は部分情報下の設定を考えているため,線形フィルタリングの理論を使うことにより,完備市場での問題に帰着させることができる.このことを利用して計算が比較的容易な最適解を導くことに成功した.最適解は常微分方程式の解を使った表現と,確率的な表現の2種類を得ている.具体的に最適消費の性質を調べるために解の確率的表現をモンテカルロ法を使って折似した.推定誤差と最適消費の関係など興味深い結果が得られている.この結果は現在論文にまとめている最中であり,19年度の前半には専門雑誌に投稿する予定である. つぎの成果としてはRankオプションと呼ばれるエキゾチックオプションに関連して,Rank統計量の研究を行った。Rankオプションの価格式は藤田=三浦(2005)の研究によって導かれているが,非常に複雑な多重積分で表現がされている.本研究ではこの多重積分を並列計算を用いることにより計算をすることに成功した.本結果は2006年8月に東京で開催された国際会議Bacheljer Finance Congressで発表した.なお,国際会議への費用は本補助金を用いた.この国際会議では最新の数理ファイナンスに関する幅広い情報を得ることができ,そのなかには19年度以降の研究に役立つものもあったことも報告しておきたい.
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