2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18700269
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Research Institution | Reitaku University |
Principal Investigator |
上村 昌司 Reitaku University, 経済学部, 准教授 (50323902)
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Keywords | 数理ファイナンス |
Research Abstract |
ポートフォリオ戦略をパラメータ化することによるポートフォリオ最適化問題について研究をした. 従来の研究では一期間モデルにのみ焦点が当たっていたが, 本研究では多期間モデルやそれに類似するモデルへの応用を試みた. まず, Fama(1996)の「平均・分散・共分散問題」に着目した. Famaの問題は条件付きの最適化問題であるが, これを無条件の問題へと書き直すことができた. 無条件問題に書き直すことにより, 収益率の時系列などをモデル化することなく最適解が得られるため, モデルリスクの軽減につながる. Famaの問題からICAPMが導かれることから, 多期間問題に直面する投資家の問題を無条件問題で考えたとも言えるだろう. ただし, いまのところ厳密な解を導出するには値関数を知ることが必要なため, 完全な多期間問題の解を与えたとは言えない. さらに, 通常のBellman原理に基づく動的ポートフォリオ問題の解法に, 今回のアイデアを適用することにより, 無条件問題を連続して解くことで動的ポートフォリオ問題の(近似)解が得られることを示した. これはBrandt et al. (2005)の解法と類似なものになっている. ポートフォリオをパラメータ化することにより, Brandt el al. の解法にある値関数の近似が不要になるため, 近似誤差がより小さいのではないかと予想している. 本研究ではアルゴリズムの導出までにとどまったが, 引き続き数値計算によりBrandt et al. の解法との比較を行っている.
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