2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18730416
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Research Institution | Tohoku Bunka Gakuen University |
Principal Investigator |
平野 幹雄 Tohoku Bunka Gakuen University, 医療福祉学部, 准教授 (20364432)
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Keywords | 教育社会系心理学 / 障害児心理学 / 記憶の障害 |
Research Abstract |
本年度の目的は、自伝的記憶の神経心理学的な分析をさらにすすめること、実生活上の認知活動を分析対象として捉え、どのような場面で記憶が用いられているか分析することにあった。 主に、未来をイメージすることと過去の自伝的記憶の想起との関連に主眼をおいて分析を進めた。文献を渉猟したところ、記憶障害を伴う脳損傷者のうち、上記の両方に問題があるタイプと過去の自伝的記憶の想起には問題があるが、未来をイメージすることには問題がみられないタイプとが存在することが分かった。そこで、このような差異が生じる理由について記憶障害を伴う脳損傷事例を対象にKleinら(2002)の過去未来課題を用いて分析した。その結果、Kleinらの事例と同じく、過去の記憶の想起だけではなく、将来をイメージすることにも問題が生じていることが明らかにされた。実生活上における観察の結果と併せると、Schacterら(2007)が述べているように上記の両者が同じ脳部位と関連している可能性と、過去の記憶の喪失が将来の自分をイメージすることと副次的に関係している可能性とが考えられた。特に後者の可能性に関しては、僅かながらにも未来のイメージを抱ける場合がありそうした時の特徴として、自分の過去においてルーチン化された出来事を記憶として留めており、それを未来をイメージする際に用いていた様子が散見された。同時に、実生活上においては過去においてルーチン化された出来事の情報を基に実際にプランをたて行動している様子も散見された。 次年度(最終年度)は、以上で述べた点について対象者を増やしつつさらに検討を進め、同時に支援方略の是非についても考察していく。また、成果発表(国際学会、査読付き雑誌)を積極的におこなう予定である。
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Research Products
(2 results)