2008 Fiscal Year Annual Research Report
量子ドット微小共振器結合系での基盤的問題に対する理論的研究
Project/Area Number |
18740252
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
井上 純一 National Institute for Materials Science, 計算科学センター, 主任研究員 (90323427)
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Keywords | 量子ドット / 共振器電磁気学 / 量子干渉 |
Research Abstract |
半導体微小共振器に量子ドットを埋め込んだ系は, 量子情報演算素子としての観点から注目を集め, 共振器の性能を表すQ値を大きくすることによって, 強結合状態を実現し, そこにビット情報を持たせようとする試みが盛んである. しかしながらQ値を大きくすることと強結合状態を得ることは必ずしも同値ではなく, 実際の系では不可避である散逸の効果を考慮すると, Q値の大きい弱結合状態が可能になることを初年度明らかにした. それに引き続いて昨年度見出された, 量子干渉現象が発現するクロスオーバー領域の範囲を特定すべく, 本年度は, フォトンと電子励起の結合係数で規格化した, 2準位系の寿命と共振器の緩和係数をそれぞれ, 横軸, 縦軸にした相図を作成した. 作成にあたっては, 理解を容易にするよう, 各パラメータに応じて, 周波数領域でのスペクトル形状と, 時間領域での波形形状を対比させ, 両者の情報を相補的に理解できるようにした. これにより, 周波数領域だけでは区別がつきにくい2つの状態も, 時間領域では容易な区別が可能になることを示した. 例えば, 周波数領域ではローレンツ型関数でよくフィッティングできる場合であっても, 時間領域で観測すれば, 波形形状に明瞭な違いが見られる場合がある. これは2つの経路の干渉がある場合に, 一方の振幅が小さく, 量的にみれば周波数領域では無現できる程度であっても, 干渉が起こるか否かという定性的な差としてみれば, 決して無視できないことを意味している.
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Research Products
(1 results)