2006 Fiscal Year Annual Research Report
プロテアソームの機能制御に基づいた新規抗癌剤の作用に関する研究
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18790092
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Research Institution | Nagahama Institute of Bio-Science and Technology |
Principal Investigator |
長谷川 慎 長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 講師 (10367899)
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Keywords | 癌 / 蛋白質 / 薬剤反応性 / プロテアソーム / 翻訳後修飾 |
Research Abstract |
抗癌剤候補物質ベラクトシンAのプロテアソーム阻害作用と酵素サブユニットのリン酸化修飾の関係を明らかにし、その抗腫瘍効果への影響を明らかにする。具体的には、ベラクトシンAの20Sプロテアソームサブユニットにおける作用部位を同定し、リン酸化修飾と阻害剤作用の関係を明らかにする。そこで、まずプロテアソームのリン酸化修飾とベラクトシンA作用の関係を解明するための手がかりを得るために、ベラクトシンAの作用部位を同定する。ベラクトシンAの作用部位は、ラクタシスチンといった他のプロテアソーム阻害剤での例にもある様に、酵素活性触媒部位そのものである可能性が高いものと考えられた。すなわち、酵素活性触媒部位を構成する活性型側鎖とベラクトシンA分子内のβ-ラクトン環が反応し、共有結合を形成しているものと考えられる。そこで、精製20Sプロテアソームとビオチン標識ベラクトシンAを反応させた後、SDSポリアクリルアミド電気泳動とプロッティングの行い、ビオチン検出試薬および抗体で結合サブユニットを解析した。また、さらに抗リン酸化修飾抗体で、当該サブユニットのリン酸化状態を解析した。今後、質量分析装置によるペプチドマッピングによりリン酸化修飾部位を同定する。リン酸化修飾と阻害剤作用の相関が解明できれば、そのリン酸化修飾がプロテアソームの生理的活性制御を行っている可能性が高く、この研究によりプロテアソーム機能について新たな知見を得られる期待は大きい。また、これらリン酸化状態と阻害剤の感受性の相関が証明できれば、プロテアソームを介した新規抗癌剤やこれを利用した治療法の開発に大きく貢献できる。
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