2006 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト癌細胞の足場非依存的増殖能の獲得におけるSrcの役割
Project/Area Number |
18790221
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小根山 千歳 大阪大学, 微生物病研究所, 特任研究員 (90373208)
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Keywords | 足場非依存性 / トランスフォーメーション / Src / Csk |
Research Abstract |
Srcは代表的な原癌遺伝子とされ、大腸癌を始めとする多くのヒト癌細胞でその発現及び活性の亢進が見られるなど癌化との関わりが示唆されている。しかし、現在のところ、天然型Srcがどのような機構を通じて癌遺伝子として作用するに至っているのか定説はない。そこで本研究では、癌細胞に共通する基本的な性質である足場非依存的増殖能の獲得に着目し、Srcによる癌化メカニズムの解明を目指している。本研究によってSrcによる癌化の分子機構が明らかとなり、それを制御する方法が見出されれば、癌の予防や治療法への発展が期待できる。 私は、SrcのネガディブレギュレーターであるCskを欠損した正常繊維芽細胞は、天然型Srcを発現させることによって足場非依存的増殖能を獲得し、トランスフォーメーションすることを見出した。Srcによるトランスフォーメーション形質を示す系としてはこれまで活性型Srcの発現によるものが用いられてきたが、多数の細胞内蛋白質の副次的なリン酸化が一挙に亢進してしまい、トランスフォーメーション形質に本質的なSrc基質の解析が困難であるという問題があった。これに対し、私の系は細胞内蛋白質のリン酸化亢進が限定的であるにも関わらず同程度のトランスフォーメーション形質を示し、トランスフォーメーションに最小限必要なSrc基質を見出すことが容易となっている。 この系を活用して、プロテオーム的手法及びマイクロアレイ・RNAiによる遺伝子解析手法を用いて、トランスフォーメーション形質とリン酸化あるいは発現の変動が相関している標的分子・遺伝子をいくつか見出した。
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