2006 Fiscal Year Annual Research Report
尿路結石症の形成に係わるゲノム解析と抗酸化抑制作用
Project/Area Number |
18791131
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
伊藤 恭典 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 助手 (70295608)
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Keywords | 尿路結石症 / オステオポンチン / OPNノックアウトマウス / OPNトランスジェニックマウス / DNAマイクロアレイ / 酸化ストレス / ゲノム解析 / SNP |
Research Abstract |
1.OPN欠損マウス(OPNノックアウトマウス)を作製するにあたって、エチレングリコール投与による尿路結石形成モデルマウスの作製を試みた。ノックアウトマウスでは、エチレングリコールのみで結晶沈着を起こしてしまうことが明らかになった。まず、なぜマウスで結石形成されにくいのかを究明した。 次いで、OPNノックアウトマウスが結石を形成する機序を明らかにするため、DNAマイクロアレイを用い、OPN欠損時の結石関連遺伝子(カルプロテクチン、プロトロンビン、バイクーニン、フィブロネクチン)発現を網羅的に解析した。また、自然発生的に腎結石が誘発される結石マウスを作製した。さらに、OPNノックアウトマウスで過剰発現していた遺伝子を腎結石抑制因子と考え、この発現をアンチセンスを用いてブロックした。 2.種々の長さのOPN上流配列をレポーター遺伝子GFPと結合させ、そのDNAをマウスに組み込み、トランスジエニックマウスを作製した。このマウスを用いた研究から、胎生期において臓器特異性に特定のOPN上流領域が関与して発生を制御していることが明らかになった。腎臓に関しても胎生期から出生後にかけて、特定のOPN上流領域が作用することでOPNが発現し、出生後徐々にその発現は減少し消失することも明らかになった。 3.酸化ストレスに着目し尿路結石モデルラットに抗酸化物質を投与すると結石形成にどのような影響があるのか検討を行った。抗酸化作用を有するカテキンを多く含む緑茶を投与したところ、尿路結石症をある程度予防し得ることがわかった。腎組織中のSOD濃度が緑茶投与により増加することも認められた。その機序に関して抗酸化作用が腎尿細管細胞におけるapoptosisを抑制することも知りえた。同様な検討をin vitroで施行し、尿路結石症における抗酸化作用の役割に関してさらに検討を加えた。
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