2006 Fiscal Year Annual Research Report
赤芽球分化におけるヒストンアセチル化酵素様蛋白質EST1のプロテオミクス解析
Project/Area Number |
18890021
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藤原 亨 東北大学, 病院, 医員 (50431573)
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Keywords | 赤芽球分化 / ヘム / 転写制御 / ヒストンアセチル化 / 蛋白質複合体 |
Research Abstract |
赤芽球分化におけるヘムの転写制御機構及び赤血球形質発現における意義を明らかにするために、マウスES細胞由来の野生型赤芽球と、ヘム合成系の律速段階酵素である赤血球型δ-アミノレブリン酸合成酵素(ALAS2)欠損マウスES細胞由来のヘム欠損赤芽球のそれぞれの遺伝子発現プロファイルをcDNAアレイにより網羅的に解析した。その結果、ヘム制御下にある赤血球関連遺伝子の一つとして同定した新規のEST1は、ヒストンアセチル化酵素(HAT)ファミリーであるGNAT(GCN5-related N-acetyltransferase)superfamilyに属する蛋白質群に共通に保存されているAcetyl CoA binding domainを有することが一次構造配列の比較により明らかとなった。したがってEST1は、新規アセチル化酵素であることが予想された。一般的に、HATはピストンをアセチル化することによりクロマチンの構造変換を促し、転写制御に重要な役割をもつことが知られている。現在のところヘムを介したヒストンアセチル化の制御に関する報告はなく、赤芽球分化におけるHATの意義も不明である。そこで、ヘムを介した赤芽球分化にEST1がいかに関与するかを明らかとすべく研究を開始した。まずEST1をクローニングし、Flag/HAのepitope taggingを施したレトロウイルスのベクターに構築し、マウス赤白血病細胞株を用いてEST1安定形質株を作成した。次に同細胞株を大量培養し、その核抽出液からEST1蛋白質複合体の精製を行った。EST1蛋白質単独では遊離ヒストンに対するアセチル化活性は認められなかったが、EST1蛋白質複合体を用いて解析した結果、アセチル化活性の存在が認められ、EST1蛋白質複合体は新規のHAT複合体である可能性が示唆された。現在このHATに関する解析を継続中である。
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