2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18890107
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
寺島 祥充 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (50420443)
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Keywords | 歯学 / 移植 再生医療 / 歯根膜細胞 / オステオポンチン / 塩基性線維芽細胞増殖因子 |
Research Abstract |
歯周組織再生過程の初期(FGF-2による歯根膜細胞の増殖期)ならびに後期(歯根膜細胞の分化期)それぞれに誘導されるOPに関する検討を行なった。申請者らは、マウス歯根膜由来クローン細胞を既に樹立しており、in vitroで高い硬組織能を有するMPDL22と硬組織能を有さないMPDL6を実験に供した。β-glycerophosphateとascorbic acidの存在下で長期培養を行ないin vitroにて分化誘導した際の2つの細胞の硬組織形成能、OPの発現ならびに無機リン酸のそれらに及ぼす影響についてアルカリフォスファターゼ(ALPase)活性、アリザリン染色法、RT-PCR法及びウエスタンブロット法を用いて比較検討した。その結果、同条件下にて、ALPase活性が高いMPDL22は強く石灰化ノジュール形成をするのに対し、ALPase活性の低いMPDL6は石灰化ノジュールを形成しないことが示された。これらの結果と一致してMPDL22はMPDL6に比べてOPを強発現することが明らかとなった。また無機リン酸刺激によって、MPD22およびMPDL6における石灰化ノジュールの形成およびOP発現上昇が誘導され、その効果は無機リン酸のmembrane transport inhibitorであるfoscarnetによって抑制されることが明らかとなった。またMPDL22を石灰化誘導培地で長期培養した際にも、石灰化ノジュール形成及びOP発現がfoscarnetによって抑制されることが明らかとなった。これらの結果からMPDL22は石灰化誘導培地で長期培養し分化を誘導させると硬組織を形成し、OP発現を亢進することが確認された。さらに、これらの石灰化ノジュール及びOP発現誘導にはALPaseが重要であり、ことに同酵素によって生じるPiが関与していることが強く示唆された。次に、歯根膜細胞の硬組織形成細胞への分化を可逆的に抑制することが知られているFGF-2刺激によるMPDLにおけるOP産生への影響を検討した。その結果、興味深いことにFGF-2刺激を受けたMPDL22においてはOPの発現が、タンパク及びmRNAレベルで上昇することが明らかとなった。よって、MPDLにおいて分化を抑制するFGF-2によってもOP産生が誘導されることが明らかとなった。これらの事から歯周組織再生初期及び、後期にOPはそれぞれ発現誘導され、何らかの有益な機能を有している可能性が示唆された。
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