2006 Fiscal Year Annual Research Report
TRAIL誘導性アポトーシスを増強する薬剤の探索と再燃前立腺癌治療への応用
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18890162
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
白石 匠 京都府立医科大学, 附属病院, 専攻医 (70405314)
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Keywords | ホルモン非依存性前立腺癌 / TRAIL / DR5 |
Research Abstract |
前立腺癌の多くは内分泌療法が有効であるが、ホルモン非依存性となった前立腺癌に対する有効な治療法は未だ確立されておらず、いったんホルモン非依存性となった前立腺癌患者は数年以内にはほぼ全例が癌死する。それゆえ、その死亡率を減少させるにはホルモン非依存性前立腺癌に対する新たな治療法の開発が必要である。 Tumor necrosis factor-related apoptosis-inducing ligand(TRAIL)は癌細胞特異的にアポトーシスを誘導する理想的な抗癌剤として期待されている。一方、TRAILのレセプターの一つであるdeath receptor 5(DR5)もまた正常細胞に比較して癌細胞においてより強く発現しており、癌治療において有望な標的分子のひとつである。 そこでTRAIL-DR5経路を活性化させる薬剤の同定は、癌細胞にのみ特異的にアポトーシスを誘導するTRAILの利点を保持しつつ、その作用を増強させることができる。今回、DR5の発現を特異的に上昇させる薬剤を同定し、TRAILとの併用によるホルモン非依存性前立腺癌に対する新しい治療法を開発することを目的として研究を進めてきた。 現在までに我々は、リポキシゲナーゼ阻害剤であるnordihydroguaiaretic acid(NDGA)がホルモン非依存性前立腺癌細胞株であるDU145細胞において、DR5の発現上昇を介して効果的にTRAIL誘導性アポトーシスを増強することを見出した。この効果は他のリポキシゲナーゼ阻害剤であるAA861でも同様に認められた。一方で、ヒト正常末梢血単核球ではNDGAによるDR5の上昇およびTRAIL誘導性アポトーシスの増強作用は認められなかった。 今後、NDGAによるDR5発現上昇の分子メカニズムおよびin vivoでの検討を行っていく予定である。
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