2008 Fiscal Year Annual Research Report
国際リニアコライダーでの実験のための革新的測定器システムの開発研究
Project/Area Number |
18GS0202
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山本 均 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 教授 (00333782)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 了 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 准教授 (60272465)
杉本 康博 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 講師 (70196757)
杉山 晃 佐賀大学, 理工学部, 准教授 (80187674)
竹下 徹 信州大学, 理学部, 教授 (70154995)
宮本 彰也 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (50174206)
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Keywords | 素粒子実験 / 先端機能でバイス / ネットワーク / 計算物理 |
Research Abstract |
2007年の夏に、アジアを中心に進められて来たILCの測定器概念GLDと欧州を中心として進められて来たLDC測定器概念が合体して新しい測定器グループILDが誕生したが、2009年3月31日に約170ページのILD測定器のLOI(Letter of Intent)をILCSC(国際リニアコライダー運営委員会)のもとにある国際リニアコライダーの実験プログラム統括組織(ディレクター:山田作衛)に提出した。これは、主として日本とヨーロッパの共同研究によるものであるが、日本の貢献はほとんどがこの研究計画によるものである。即ち、測定器最適化のためのシミュレーション研究と測定器要素の研究開発をLOI作成に十分なまでに推進した。 具体的には、(1)測定器最適化(OPT)に関しては、LDCとGLD統合のための測定器の分解能評価及び物理解析を行った。2008年9月にケンブリッジにおいて行われたILDグループの会議では、LDCとGLDの基本的パラメータ、特にソレノイドの磁場の強さとECALの内径を決定したが、我々の科学的主張は国際的に評価され、統合された測定器ILDはそれらを十分に反映したものとなった。(2)反応点測定器(VTX)は、高精細CCDプロトタイプの試験を行い、基本的な機能を実証し、レーザーによる試験も成功した。また、読み出し集積回路に関しては、前置増幅器、ADC、時間スライス、保存、そしてピクセルレジスターの読み出しの全ての機能が確認された。(3)飛跡検出器(TPC)は、2重GEM電子検出器をKEKの超伝導磁石と欧州で製作されている大型TPCプロトタイプ(LP1)を使って、DESY(ドイツ電子シンクロトロン研究所)においてビーム試験を行った。検出器の一部が漏電し、全チャンネルの1/3を失ったが基本的機能が確認された。(4)カロリメータ(CAL)に関しては、光センサーMPPCの基本的測定と開発を終えた。戦略をHCALからECALに移し、ほぼ商品化されたMPPCを使ってECALの試作機を米国のフェルミ国立研究所に輸送し、ビーム試験を行い、予想通りの分解能を実証した。(5)GRIDネットワークは、ヨーロッパとのシミュレーションデータの交換が実用化された。
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