2018 Fiscal Year Annual Research Report
世界システムとオイコノミア:大戦間期の貨幣論の生態的・人類学的考察
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18H00619
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
中山 智香子 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (10274680)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 公則 明治学院大学, 国際学部, 准教授 (10649312)
桑田 学 福山市立大学, 都市経営学部, 准教授 (20745707)
松村 圭一郎 岡山大学, 社会文化科学研究科, 准教授 (40402747)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ネイチャーズエコノミー / ダーウィニズム / 地域通貨 / 暗号通貨 / キームガウアー / ヴェルグル |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は初年度のため、まず夏前(6月30日)に第一回の研究会兼研究打ち合わせの会合を開き、各メンバーの問題関心と今後の研究計画を確認した。また代表者中山と分担者桑田は社会思想史学会会員であり、2018年度の大会でテーマ的問題関心を共有する藤原辰史氏(非会員)を招聘してセッション報告「ネイチャーズエコノミー再考:ダーウィニズムからナチズムの時代に」を行うことを計画し、夏前に2度の研究打ち合わせ、小研究会を行った。同学会大会は10月末(27日、28日)に行われ、他の分担者二名もこれに参加して、セッション参加者とともに活発な議論を行った。さらに同日、これを受けての藤原氏も交えて研究打ち合わせを行った。またこの結果、2019年度より藤原氏に研究分担者に加わっていただくことになった。 なお同学会大会では、資本主義と人種、階級、国民の概念の関係を論じたドキュメンタリーDVD上映のセッションが行われたが、これは本研究の枠内でドキュメンタリー製作者に許可をとり日本語字幕を付した成果を、テーマに近い研究者諸氏に論じてもらったものである。 また地域通貨と暗号通貨に関して戦間期のドイツ、オーストリアの状況を調査するうちに、現行の地域通貨キームガウアーを精査する必要が明らかになり、また戦間期に普及した地域通貨ヴェルグルの実施地域に研究所が存在することがわかったため、2019年2月末から3月初めにかけて、ドイツ、オーストリアへの共同出張を行った。分担者林はキームガウアー創始者のC.ゲレリ氏にインタヴューを行い、またメンバーでヴェルグルの研究所を訪問し、視察とインタヴューを行った。さらに林、中山でM.エンデの思想との関連を調査し、分担者桑田はイギリスの貨幣論と社会的信用、ラスキン、ギルド社会主義の関係を調査するため、イギリスへも出張の足をのばした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定したとおりに研究会や海外出張を進めることができ、メンバーの日程調整はかなり難航するものの、おおむね順調に共同研究を進めることができている。また研究が進む中で、あらたな研究分担者を加えることが構想されるようになり、思った以上に進展している部分もある。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度のもっとも大きな企画は、2018年度の終わりごろに進めた海外出張の成果を受け、9月に日本(飛騨高山)で行われる地域通貨、暗号通貨に関する国際学会にセッション参加することである。ここにキームガウアーの創始者のゲレリ氏と、ヴェルグルの研究所のハフナー氏を招聘して報告いただき、ともに議論を行う予定である。また第一回打ち合わせから学会のセッション報告などを経て、メンバー間で、熊本・水俣における社会的信用の動向と地域主義に関心が向かっていることが明らかになった。これも含め、世界システムとオイコノミアというテーマを、より複合的に考察していく予定である。
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Research Products
(9 results)