2019 Fiscal Year Annual Research Report
世界システムとオイコノミア:大戦間期の貨幣論の生態的・人類学的考察
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18H00619
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
中山 智香子 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (10274680)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 公則 明治学院大学, 国際学部, 准教授 (10649312)
桑田 学 福山市立大学, 都市経営学部, 准教授 (20745707)
松村 圭一郎 岡山大学, 社会文化科学研究科, 准教授 (40402747)
藤原 辰史 京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (00362400)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 水俣 / オイコノミア / 仮想通貨 / 地域通貨 / ヴァロファキス(バルファキス) / ユーロ危機 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度はまず5月初旬、人間の暮らしの経済の実践の一つのあり方を示す水俣を調査地として、まず年度初めの方針の検討会、研究会を行った後、水俣病の当事者や関係者の現在の取り組み、現地の自然エネルギーや有機農業の実践者の話しを聞いたり視察を行なったりした。 この年度には前年度の海外視察の成果を活かしながら、9月に飛騨高山で行われる国際地域通貨学会にセッションを組んで報告エントリーすること、ドイツの地域通貨キームガウアーの創始者と、オーストリア、ヴェルグルの仮想通貨研究書の研究員、各1名の招聘を行うことを確定し、これに向けて共同研究を進めた。さらに、研究代表者が別の共同研究のメンバーとなっている気仙沼の地域通貨、地理実践との取り組みに関わる研究者2名からの共同論考も、同じセッションで報告を行うことになった。国際学会には世界の諸地域からの地域通貨、仮想通貨の研究者、実践者が100名以上集まり、ゆたかな研究交流を行うことができた。また現地の地域通貨であるさるぼぼ、エネポの実践について、その取り組みなどを視察し理解することができた。2019年内、学会後はこれを論文にまとめ、投稿すべく準備の議論、執筆等を行った。 また2020年2月には、研究代表者も関わりをもったY.ヴァロファキス『私たちを救う経済学』の邦訳が2019年夏に刊行されたことをふまえ、翻訳者を招聘して研究会を行い、ギリシャのユーロ危機の際に財務大臣をつとめた実践経験のある経済学者による国際経済、国際金融の歴史的、理論的考察、負債とユーロ、EUとアメリカなどのテーマから、世界システムの現行の経済システムとオイコノミアの乖離について考察を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度の共同研究の実績をもとに、テーマに関わる国際的な展開をめざした2019年度の活動は、先方の理解と協力を得て順調に推移し、またこれを土台とした、さらなる国内外の理論、実践との関わりについても、知見と人脈の双方を広げることに成功したといえる。 年明け2020年に入ってからは、突如あらわれたCovid-19感染のリスクにより、研究会の開催についてやや不安材料もあったが、ひどく拡大する前に何とかタイムリーに行うことができ、実りある成果を得ることができた。 なおイタリアからオイコノミアの実践と理論を手がける研究者を招聘する予定がCovid-19で延期となり、2019年度、2020年度とその費用を繰り越して感染状況の改善を待ったが、2021年度中にもイタリア、日本で改善の時期を展望できなかったため、連絡調整の後、本研究のテーマに関する研究会の開催、必要な資料の購入等に充てることとした。
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Strategy for Future Research Activity |
前項にも示したとおり、Covid-19の感染リスクを避けるため、予防に万全を期しながら、可能な形で研究を進めることが必要である。とはいえ、オンラインでの研究会や打ち合わせの可能性がひろがったことは、研究代表者と分担者が必ずしも近接した地域に住んでいない本研究にとってはメリットもある。このような技術的利点も活かしながら、これまでの活動や研究の実績を踏まえ、これまでの成果を整理しさらにまとめること、社会に発信して社会貢献を果たしながら、さらなる議論、さらなる展開を探ることを今後の課題としたい。
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Research Products
(20 results)
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[Book] 農学と戦争2019
Author(s)
足達太郎,小塩海平,藤原辰史
Total Pages
256
Publisher
岩波書店
ISBN
978-4000018265
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