2018 Fiscal Year Annual Research Report
20世紀序盤の東アジアにおける東洋・西洋の共鳴: 楽器の響きから考えるピアノ文化
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18H00623
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
小岩 信治 一橋大学, 大学院言語社会研究科, 教授 (90387522)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 さつき 愛知県立芸術大学, 音楽学部, 教授 (10184251)
奥中 康人 静岡文化芸術大学, 文化政策学部, 教授 (10448722)
大角 欣矢 東京藝術大学, 音楽学部, 教授 (90233113)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 歴史的ピアノ |
Outline of Annual Research Achievements |
20世紀序盤における本邦および東アジアにおけるピアノの調査という目的に鑑み、また実施計画に沿って、以下の研究活動を行った。 1)当時から残されているピアノの標本調査およびその予備調査 1‐1)旭川市・北海道教育大学旭川校が所蔵する周ピアノ(1926年ころ?) 実物を調査した。カナダ製のアクションが組み込まれていることなどが明らかになった。今後、数年前に行われた修復を含めた来歴に関する調査を継続する。1‐2)熊本市、山鹿市 先行研究の成果を活用しつつ市内の教育機関および山鹿市立博物館において、実物調査に向けての予備調査を行った。1‐3)東京都台東区 音楽大学が所蔵するビーゼ・ピアノ(1897、ベルリン)について現況を確認した。1‐4)中華人民共和国上海市 上海音楽院、巴金記念館ほかで大戦間に存在したピアノの所蔵状況について聞き取り調査を行った。 2)当時存在したと考えられるピアノの悉皆調査とそのデータベース化の準備 加えて、歴史的ピアノの研究・活用に関して、今後の世界の潮流を見極める重要なイベントと見られた「第1回ショパン国際ピリオド楽器コンクール」(2018年9月2-14日、ワルシャワ)に共同研究者を含めた3名を派遣し、その成果とともに、歴史的ピアノ研究と楽器活用の現在について周知するシンポジウム「歴史的ピアノと音楽文化; 第1回ショバン国際ピリオド楽器コンクールをふりかえる」を開催した(2019年3月13日、一橋大学)。なお当日の模様は『音楽の友』『月刊ピアノ』誌で報じられている(それぞれ同年5月号)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究対象(20世紀序盤に本邦を含む東アジアに存在したピアノ)の実物を検証するとともに、それらに関する情報収集を国内外で実施する一方、研究成果の公開に関して時事的な性格のもの(第1回ショパン国際ピリオド楽器コンクールに関するシンポジウム)と歴史的ピアノに関するデータベース構築準備も進捗しており、この課題の多面的な性格を表す研究活動が当初計画に沿って行われているため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き当初計画に沿って、実物の調査、所蔵情報の調査を国内外で実施する。まず、予備調査が済んで準備が整った熊本県と埼玉県にある楽器の調査と、上海での予備調査が見込まれる。またデータベースの情報入力作業の継続とともにその簡易版の公開を予定している。さらに第1年度と同様、歴史的ピアノに関する音楽界の動向によっては注目すべきイベント等の調査・視察に柔軟に対応し、この研究分野に関心を持つ方々に貢献する研究成果の発信に努める。
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