2023 Fiscal Year Annual Research Report
A Comprehensive Research on Style of the Violin Playing in the First Half of the 20th Century
| Project/Area Number |
18H00636
|
|---|
| Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
|---|
Principal Investigator |
大角 欣矢 東京藝術大学, 音楽学部, 教授 (90233113)
|
|---|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 峰夫 京都市立芸術大学, 音楽学部, 教授 (00533952)
井上 さつき 愛知県立芸術大学, 音楽学部, 名誉教授 (10184251)
片山 杜秀 慶應義塾大学, 法学部(日吉), 教授 (80528927)
丸井 淳史 東京藝術大学, 音楽学部, 教授 (90447516)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
|
| Keywords | 演奏研究 / 演奏様式 / ヴァイオリン / レコード / 鈴木鎮一 / 歴史的音源 / メディア / 早教育 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
「野澤コレクション」を中心とした東京藝術大学附属図書館所蔵ヴァイオリン歴史的音源ディスコグラフィーの表記や表示の統一・修正を進めた。同目録は同図書館ウェブサイトにおいて近い将来公開予定である。 並行して、ヴァイオリン演奏研究のケーススタディとして、「鈴木メソード」の考案者、鈴木鎮一の演奏・教育・音楽活動に関し検証を行い、次のような結果を得た。
１．鈴木の音楽家・教育家としての形成にとって、ヴァイオリン製造家の父・政吉の世界大の視野を持つ進取の気象と、折からのレコード・ラジオ等の新メディア及びそれに伴う純洋楽の普及といった個人的・社会的条件が基底的であった。
２．鈴木は、ベルリンで師事したクリングラーから弓の構えやテンポの揺らし方などの点で伝統的なドイツ／中欧系の演奏スタイルを受け継いだ一方、ヴィブラートの常時使用という新世代の特徴を採り入れていること、特にフランクのヴァイオリン・ソナタの録音にはティボーからの影響が顕著であることなど、彼の個人様式の形成にはレコードの存在が決定的に重要な役割を果たしていた。
３．東京音楽学校においてフランク作品の演奏が例外的であったのと対照的に、日本のレコード愛好家のコミュニティでは一種「フランク熱」とも呼べる現象が見られる。鈴木が帰国後弟たちと結成したカルテットはこうしたコミュニティとの結びつきが強く、鈴木の音楽活動は常に「レコード界」を視野に入れて行われていた。
４．1930年代には早教育や「天才児」が世間の耳目を集めたが、それはラジオや新聞などメディアの動きや戦略と深く関わっており、こうした潮流は鈴木の「才能教育」立ち上げへの追い風となった。また、この動きは一部、「少国民」の戦時体制への動員という政府の施策及びそれに同調する社会のあり方をも背景としていた。
以上の成果は、2023年10月21日に開催されたシンポジウムにて発表した（報告書準備中）。
|
| Research Progress Status |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
|
| Strategy for Future Research Activity |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
|
