2018 Fiscal Year Annual Research Report
History of urban disasters in early modern period: the interaction between nature and humans
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18H00707
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Research Institution | National Institute of Japanese Literature |
Principal Investigator |
渡辺 浩一 国文学研究資料館, 研究部, 教授 (00201179)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩淵 令治 学習院女子大学, 国際文化交流学部, 教授 (90300681)
石神 裕之 京都造形芸術大学, 芸術学部, 准教授 (10458929)
平野 淳平 帝京大学, 文学部, 准教授 (80567503)
堀地 明 北九州市立大学, 外国語学部, 教授 (70336949)
澤井 一彰 関西大学, 文学部, 教授 (80635855) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 災害 / 環境 / 都市 / 近世 / 自然 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年8月28~31日にローマで開催された欧州都市史会議European Association for Urban History 大会テーマ「都市再生とレジリエンスー比較の視座における都市」において、イギリス・イタリアの研究者と共同してメイン・セッション「自然災害と都市―近世都市における地震・洪水・大火― natural disasters and the urban: earthquakes, floods and great fires in early modern cities 1400-1800」を主宰した。世界各地から12本の報告が行われた。本科研から報告2本(1本は3人の共同報告)を行った。参加者も約50人と他のセッションと比較して多く、災害史研究が国際的にも関心が高いことが確認できた。また、今回に限ったことではないが、実証的な日本史研究の成果を世界に発信することができた。(URL: goo.gl/w4dEyN) そのほか、歴史気候データベースへの新たな入力情報の収集について、大きな進展を得た。東京都公文書館所蔵の金地院文書のなかの日記類から、1722年から1773年までの約50年分の毎日の江戸の天候情報を採取することができた。また、池田家本江戸幕府日記からは1630年から1654年の毎日の天候記載があること、また内閣文庫本柳営日次記からは1654年から1680年にかけての天候が採取できることを確認し、後者の3年分の情報を採取することができた。 さらに、2020年8月末にアントウェルペンで開催が予定されている欧州都市史会議に、Perceptions of Disasters in Early Modern Citiesというテーマのメイン・セッションをイギリスの研究者と共同で3月に公募し、5月17日に採択の連絡が来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
欧州都市史会議でのセッションでは、文献史学・考古学・気候学という文理融合研究を実現することができた。その準備過程では、互いの準備報告に触発された手持ちの史料の見直しが行われ、些末と思われた情報が他の分野で生かされることを相互に理解することができた。また、都市江戸の火災に対する防災・避難マニュアル本を扱った報告では、在来知・民衆知や出版が近年欧州で関心を集めているため、こうした論点をめぐっても意見交換を行うことができた。さらに、海外各地の報告を聞くことにより、気候条件による災害様相の違いにもかかわらず、行政の災害対応には意外な共通性も観察することができた。また、海外の災害史・環境史研究者との新たなつながりを得ることができた。ただ、セッションとしては時間不足のために全体討論を行うことができず、全体としての成果を確認できなかったことが反省点である。また、報告が公募制のためバランスのよい報告の組み立てができない点も課題ではある。しかし、大きな学会では多数の研究者に報告を聞いてもらうことができるという大きなメリットもあり、報告が公募制であることは新たな研究交流相手の発掘にもつながる。そうした意味では課題と利点は表裏一体の関係にあり、課題点が完全なマイナスとは言えない。 歴史天候情報の収集に関しては、大学院生3名の協力により、想定していた以上の成果を挙げることができた。特に17世紀前半から18世紀半ばまでの天候情報は、日本列島全体でもそれほど多くは収集されていないのが現状であるから、貴重である。 2020年の海外学会でのセッションを応募して採択されたことは、今後の研究計画をより具体的にする条件を整えたという点で大きな意味があった。
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Strategy for Future Research Activity |
4月末にブダペストで研究打ち合わせを行い、2019年度に東京で行う研究会に、ハンガリー国立科学アカデミーのチャバ・カトリーナ上級研究員を招聘すること、2021年度にブダペストで国際シンポジウムを開催することで基本的な合意が得られた。また、研究代表者は4月から5月にかけてフランス国立社会科学高等研究院EHESSに客員教授として招聘された機会を利用して、同研究所環境史研究グループと交流し、フレデリック・グラバー研究員と2022年に共同でシンポジウムを開催する可能性について合意した。以上により今後の計画としては、2019年度東京、2020年度アントウェルペン、2021年度ブダペスト、2022年度東京もしくはパリにおいて研究会ないしシンポジウムを行うこととなり、最終年度までの計画がかなり具体化してきた。問題はそれぞれのテーマである。2019年度は招聘するチャバ氏の専門が水害であるために水害や水環境がテーマとなる。したがって少なくとも日本側報告には気候学の報告が含まれる必要がある。2020年度は災害意識がテーマとなる。ここでは分担者からの報告としては、中国が水害、イスラームが地震、日本が火災・水害・地震が予定されている。西欧からの報告は噴火とペストが予想される。災害意識というテーマでは、キリスト教的終末観、イスラーム的終末観、弥勒信仰、天譴論など宗教と学問のあり方との関連が論点となるだろう。2021年度・2022年度に関してはテーマはまだ協力相手と話し合っていないが、大まかな方向性としては、いずれも歴史気候学の最新の成果を反映するシンポジウムを行う予定である。以上と並行して進めるのが、歴史気候情報の収集と分析である。すでに判明している江戸の天候情報の採取を進めるとともに、日本国内では、越後から出羽にかけての情報が不足しているので、その地域の日記天候情報をこれから探索する予定である。
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Research Products
(12 results)